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「それで、歩君のことで少しお話が……。最近、裏の畑から人形の手足が出てから、大事な集会の時や、昨日、遠くへ行ってはいけないのに隣の利六町に出掛けたそうで、何か一人で悩み事などを抱えていたとしたら、教師として真摯に相談に乗りたいのです」


来た!


ぼくが考え事をしていると、いつの間にか母さんと羽良野先生の会話が、最近のぼくの行動に傾いてきた。


でも、なんでぼくが利六町に行ったのが大原先生はわかったのかな?

三部木さんしか知らないはず?


「え、昨日ですか? 友達と遊んでいたはずですが?  あ、多分、来月引っ越すんですが、引っ越し先が利六町なので。友達と一緒に見に行ったのでしょうね……。寂しくなるわね……ね、歩?」


母さんはぼくの行動をプラスに考えてくれた。


「うん!」


良い子の体裁で答えたが、羽良野先生の顔が一瞬醜く歪んだのが見えた。


恐らく来月にぼくが引っ越すのは都合が悪いのだろう。


羽良野先生は急にニッコリと笑って、母さんと明るい世間話をした。

しばらく羽良野先生はぼくの顔をにこやかに見つめていたが、母さんが急須にお湯を入れに立ち上がり、キッチンへ向かうと懐から鉈のような形状の刃物をチラっと見せた。


ぼくには、脅しや警告なのはわかるんだ。母さんまで危険にさらされるのはまっぴらだ。


幸助おじさんは夕方じゃないと来てくれない。

仕方なくぼくは羽良野先生に少しだけ頷いた。本気で命のやり取りをしないといけないけど、母さんを守るためなんだ。


急須を持って来た母さんと羽良野先生は再び世間話をした。


「そうですか。ちょっと、私と歩君だけで話をします……。きっと今まで一人で何かを抱えていたんだと思います……。凄く辛かったのだと思います……。私、教師として心配で……」


羽良野先生は悲しい声で話している。


「ええ、ええ……。それは私も薄々感じていました。裏の畑で人形の手足が出てから、歩の様子が少しおかしいのではと……。どうか、先生。歩のことをお願いします。歩、先生とお話しして……」


母さんは急に涙目になった。


無理もないよね。


こんな不可解な事件。


誰でも一人では辛いよね。一人でとても苦しむのは当たり前だ。

でも、ぼくの場合は全部自由奔放な空想の一部で、今までのことが起きている感じなんだ。

裏の畑のバラバラにされても生きている子供たちのためなんだ。

白いスープと死者の街

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