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雲雀…!奏斗…!2人の今後が楽しみです……!
見るの遅れました😭奏斗が自分を責めちゃってるのがきついな...🥲︎次回は雲雀が気づいてどうするのかめっちゃ気になる〜〜‼️いつも最高の作品ありがとうございます🥹🫶🏻これ無料なのやばくないですか⁉️これからも頑張ってください🥰️💕LuNaさんの作品ほんとに大好きです〜〜😘💘
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「…奏斗、よく耐えましたね」
あの後、僕はアキラの家に来ていた。セラフもアキラの隣に座っていて静かに話を聞いていた。
椅子に腰掛け、目の前に置かれたコーヒーを見つめる。
コーヒーに反射した痛々しく頬が腫れ上がっている僕の顔はとても雲雀に見せられるような顔ではなかった
『…情けな、』
ぎゅっとマグカップを握りしめる。
アキラはそれを何も言わずに見ていた。マグカップを握りしめている僕の手は包帯が巻かれていて、今もジクジクと痛みが走ってい る。
アキラはそれを”雲雀を守った証だ”と言ったけれど、今の僕には到底頷けるようなものではなかった
『………ずっと、βのままで良かったのに』
「…奏斗、」
前までは、”αになりたい”って死ぬほど思っていたはずなのに、俺の今の気持ちはその反対だった。αになりかけなければ、雲雀を襲う事もうなじを噛みそうになったのも防げたはずなのに。なんて、ないものねだりすぎるのか
「奏斗、落ち着いてください。…貴方は頑張りましたよ。我慢できたのは本当に凄いことです」
『…でも、…俺は、……っ、』
結局、雲雀を襲ったのは紛れもない事実。
必死にうなじを隠して俺を止める雲雀の姿が、しきりに頭の中で再生される。
罪悪感に潰されそうで、居た堪れなくてギリッと唇を噛み締めた
「奏斗、…俺はちゃんと奏斗が雲雀のこと守ってるの見てたから。雲雀もきっと許してくれるよ」
セラはそう言って、俺の背中を優しくさすった。その体温が何故だか暖かくて、ぼろっと涙が溢れた。人の前で泣いたことなど無かったのに、今の自分からは堰を切ったように涙がこぼれ落ちていた。
「送っていきましょうか?」
『いや、大丈夫。…ありがとね今日は』
「気をつけてね奏斗」
『うん。ありがと、また明日。』
日も暮れ始めて、あたりは真っ暗になっていた。アキラとセラに感謝を伝えて家を出た。
泣き腫らした目も包帯を巻かれた手も腫れ上がった頬も今は見たくなかった。
途切れ途切れ光っている電柱を通り過ぎ、幸せそうな声が聞こえる家の前を通り過ぎ、コンビニの前を通り過ぎて、人通りが少ない道を歩く。自分の足音だけが道に響く。ここを曲がれば雲雀の家_今頃、雲雀は何をしているのだろうか
“…奏斗、ごめん…”
震えた声で謝っていた雲雀の姿を思い出した。胸がギュッと締め付けられる。今にも泣きそうな顔で、か細い声でそう僕に謝った。謝らなければいけないのは僕なのに、雲雀は僕を責めなかった
どうせなら酷く責めて殴ってくれれば良かったのに。そうでもしてくれないと、僕はこの想いに顔も向けれない
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ローファーを履き、コツコツとつま先を鳴らす。通学用の鞄を持ち玄関の扉を開けた
いつもより早く家を出て、通学路を歩く。
あんなことがあっても時は普通に過ぎていき、止まってなどくれない。
まだ学生はいない。もちろん雲雀の姿もなかった。早めに出て正解だったなっと心の中で思う。この手も頬も他の人に見られたら厄介だ
いつも通り、交差点を渡って左に曲がる。
______曲がりたかった
『……ぇ、…』
交差点を渡った向こう側に、
マリさんと雲雀のが一緒に登校してるのが見えた瞬間
信号が赤に変わった
_________hbr side
朝の静けさと、葉っぱが揺れる音を聞きながら通学路を歩く。一歩一歩足を進めるけど、進んでいる感じがしなくて、何故だか重力に押しつぶされるような感覚に襲われた。
昨日の出来事が、頭から染み付いて離れない。奏斗の瞳が、手から滴っていた血が、痛々しく腫れた頬が、頭の中で再生される。
あの、雄のような瞳が_怖かった。
うなじを噛もうとするなんて、αじゃないのに
『…………あ、れ…、』
その瞬間、違和感が体を走った。
奏斗はβだ。俺がヒートを起こした時もあそこまで取り乱さなかった。
それなのにあの時は、俺が近づくのを拒んだ
そしてなにより不思議なのは、奏斗から_αのフェロモンを感じたことだ
あの時は俺も頭が回ってなかったから何も思わなかったけど、今思い返してみればおかしな点が次々と出てくる
_残された選択肢はただ一つ
『……ぃ、や……いや、…あり得ない、』
奏斗がαになりかけてるなんて、そんなの
あり得るわけない_______________
「……渡会、さん…?」
『え、_』