──バーを出て、なんとなく帰るに帰れない雰囲気のまま、重い足取りで流星の後をついて歩いていた。
さっき流星が言っていたことの真意をぼんやりと考えていた私は、ふと辺りを見回して、いつの間にかお店へと向かう路地裏の道に入り込んでいることに気づいた。
「ねぇ…お店に行くの?」
前を歩く流星に問いかける──今は、銀河にどんな顔をして会えばいいのかがわからなかった。
「いや、行かねぇ」
一言を返して、流星がぴたりと足を止めた。
「ここらへんなら、ちょうどいいだろ」
一人そう呟くと、流星がいきなり私の体を狭い路地の壁際に押し付けた──。
「なっ…何して…」
突然のことに動揺する私に、
「黙ってろよ…」
と、流星が顔を近づけて低く声を落とす。
「まずは、何からしてみるか? ……キスでもするか?」
「やめて…なんでキスするのよ…」
「黙ってろって、言ったはずだよな……」
流星の唇がためらいもなく首筋へ触れた。
「やっ…やめて…」
濡れた舌先が首筋をつーっと這い上がって、全身をぞわりとした震えが襲った。
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