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#山中柔太朗
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「……あ、太ちゃん。理事長室から内線来たんだけど、」
夕方、事務からの連絡を受けた柔太朗が、カルテから目を離さずにさらりと言った。
ナースステーションが一瞬で和やかな(? )空気に包まれる。
「えっ、理事長から!? また売店の商品増やせって文句言いに行った?」
舜太が目を輝かせて身を乗り出す。
「するわけないやろ!」
太智がツッコミを入れるが、処置室から出てきた勇斗と仁人も顔を見合わせた。
「へー、理事長から。……なんかやらかしたの?」
「違う!!………たぶん!!」
「……わざわざ呼び出すんだから、何かあったんじゃない?」
「はいはい、ちょっと行ってくるわ〜」
太智は苦笑いしながら手をひらひらと振り、最上階の理事長室へと向かった。
重厚なドアをノックして中に入る。
「失礼しまーす。……なに、パパ? 忙しいねんけど」
デスクの奥に座っていた理事長——太智の父親が、眼鏡を外してフッと目元を緩めた。
「おー、太智。急に呼んで悪かったな。……まあ座れ」
太智がソファーにドサッと腰かけると、パパは嬉しそうにデスクから紙の資料を取り出した。
「さっきな、佐野先生と吉田先生がわざわざ報告に来たんや。“先日は塩崎看護師のアセスメントと指揮がなければ現場は回らなかった”ってな。……めちゃくちゃ褒めてたぞ」
「佐野さんと吉田さんが……?」
「…お前が看護師になると言った時、“人に頼られる男になれ”って言ったの、覚えてるか?」
「……うん」
「……最高の仕事をしたな、太智」
パパからの真っ直ぐな言葉と誇らしげな笑顔に、太智は一瞬照れくさそうに視線を泳がせ、それからニッと胸を張った。
「……おん。みんな手ぇかかるけど、最高のチームやからな。俺、あの場所がめっちゃ好きやねん」
「そうか。……よし、呼び出し終了! みんな待ってるやろから、早く戻りなさい」
「はいはい。ありがと、パパ」
部屋を出てナースステーションに戻ると、舜太と柔太朗が一斉に太智を囲んだ。
「太ちゃん! 理事長何て言ってました!?」
「理事長怒ってなかった…?」
心配と好奇心でいっぱいの仲間たちに、太智は笑顔を向けた。
「なーに心配してんねん!めちゃくちゃ褒められただけやで!」
「なぁんだ、脅かさないでよ」
安堵して笑い合う二人の声を聞きながら、太智は勇斗と仁人の方へ向かった。
「二人とも……大袈裟やって〜!」
ニマニマしながら二人の方をちらちらと見る太智に、勇斗は至って真面目に言葉を発した。
「だって本当に助かったんだもん。ありがとう太智」
「も〜う!恥ずかしい!!」
「…あなたいつもそのレベルで働いてよ」
面と向かって褒めちぎられ、太智は顔を真っ赤にして両手で顔を覆った。
いつもはみんなを甘やかす側だからこそ、こうやって真っ直ぐ感謝をぶつけられると耐性がない。
そんな太智の反応を見て、舜太と柔太朗もくすくすと楽しそうに笑う。
「あ、太ちゃん照れてる!」
「珍しいね、可愛い〜」
「うるさいわしゅんちゃん!じゅうもからかわんといて!」
ワーワーと賑やかになるナースステーション。
みんなからの溢れるほどの愛と感謝に包まれて、太智は照れくささに鼻を擦りながらも、心からの眩しい笑顔を弾けさせた。
「ほんま最高のチームやなぁ…!!」
太陽が沈んだ暗闇を静かに照らし続けた『月』は、大好きな仲間たちの温かい光に包まれながら、嬉しそうに目を細めるのだった。
コメント
3件
今回もとてもとても素敵な物語でした✨️✨️ まさかだいちゃんが理事長の息子さんだとは思いませんでした、理事長さんの「人に頼られる男になれ」と言う言葉をだいちゃんが理事長さんに言われていたからあんなに素敵で優秀な人になったのだと思いとても感動しています😭それと照れているだいちゃん可愛いかったです♡
うわぁ…めっちゃ温かい回やった…💙 太智、理事長パパに「最高の仕事をしたな」って言われて照れるとこ、こっちまで嬉しくなった。普段みんなを甘やかす側だからこそ、まっすぐ感謝されると耐性ないのが可愛いすぎる。「太陽が沈んだ暗闇を静かに照らし続けた『月』」って表現、今までの太智の立場や頑張りを全部優しく包んでるみたいで好きです。みんなからの愛が溢れてるナースステーション、最高のチームだなって心から思えた話でした🌙