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ジハード「氷で…出来た…武器…?」
ルスベスタン「来ましたね。」
アリィ「来たって何が…」
アリィの質問には答えず、アマラは窓へと近づく。
アマラ「馬鹿力に勝てる武器を使えるならどうぞ?」
そして窓の外に話しかける。
アマラ「ほらほら、あくまでこうしないと来てくれないだろうから言っただけだから。」
???「…でしょうね…!」
アマラ「ルスベスタンがそんなことさせるわけないだろ。殺されちまうわ。」
???「はなっ…つよっ…!?」
アマラ「せーのっそいっ!!」
???「うわぁっ!?」
???「きゃっ!?」
アマラに首根っこを掴まれ、顔のそっくりな白い頭髪のヒトが二人窓の外から部屋の中へと、アマラによって投げ出される。
ジーク「おい体力は…」
アマラ「ヒトを抱えるくらいなら余裕だ。」
アリィ「この2人は…」
アマラ「アタシは詳しく知らない。ルスベスタンが言うには、王子様の頼れる小さな腹心さん達、だそうだ。」
???「いったぁ…」
???「ルスベスタンさん、貴方脅されてるんだと思ってたのに…こんな…こんな…!」
髪の短い方のヒトがルスベスタンに怒りをあらわにする。
ルスベスタン「ニェヘマ君、自分が彼女に頼んだ、ただのハッタリですよ。本気でそんなことをするつもりは無いし、そもそも…キールさんが自分に負けると思いますか?」
???「…キール兄さんが負けるとは到底思えない。でもならわざわざこんなことを言う必要が…」
見るからに怒りを抱いていることが分かるニェヘマと呼ばれた短髪の少年と、対照的に冷静にしかし、瞳に悲しみを浮かべながら長髪の少女は疑念を口にする。
ルスベスタン「…貴方達は悪魔を心の底から恨んでいる。だから頼んだところで来てはくれないでしょう?ニャヘマさん。」
ニャヘマ「…正気なの?」
ルスベスタン「いいえ。正気ではないからこそ、ですよ。大方、貴方が自死を図ろうとするのはキールさんの手柄にするため。でも勝手に死なれたら困るんですよ。返してもらわないといけない。」
ニェヘマ「だからって悪魔を庇うなんて…!」
ニャヘマ「ニェヘマ。」
ルスベスタン「悪魔なんかどうでもいいんです。悪魔を庇うと言ったのはこの方です。自分はあの者が相応の罰を受けるならそれでいい。その為には、ありもしない罪を重ね塗りするのだって…」
アリィ「正直私もこのヒト達がどうなるかは、あんまり気にしてないけど…」
アマラ「なんだ、アンタら。連れから聞いてなかったのか?」
アリィ「え?」
アマラ「そこのええと、ジハードだったか。」
ジハード「ああ。」
アマラ「ソイツを庇うようにアタシに伝えたのは、ノアだぞ。」
アリィ「えっそうなの?」
ノア「いや…その…」
ジーク「ノアが目覚めてから、アマラはノアとそんなに会話してないだろ?いつしたんだ?」
アマラ「ああ、会話はしてない。目だ。目を見ればソイツが何を望むかがわかる。ときに目ってのは、顔のどこよりも強い感情を含むことがあるからな。」
ジーク「別に取って食ったりしないから、正直に答えてくれ。ジハードを助けたいのか?」
ノア「…………うん。」
アリィ「すごい貯めたね…。まぁ私達は一応アマラが雇用主だから従うけどさ。あのカンカンに怒ってる2人は…」
アマラ「本当なら悪魔の話は避けたかった。たただ、信用材料がないとノアが引き渡してくれないと思ったんだ。その為の信用材料だ。あの2人はどういう訳か魔法が使える。その2人の家族がキール、クリウスって訳だ。一般人が言えば、妄言。自国の民でもないやつが言えば狂言。でもクリウスは違う。それなりに質の高い教育を受けてる。絶対の信用を持つ地位のあるクリウスが言えば、それは真っ当な意見になる。クリウスには正直に話していいと思う。ある程度伏せて…な。」
ニェヘマ「ちょっと待ってくださいよ!悪魔なんて庇ったところで…最終的に皆食われるか呪われるんですよ!?」
ニャヘマ「ニェヘマ、それを言うなら私達だって…」
ニェヘマ「でも…!とにかくキール兄さんに伝えられなければ…!」
アリィ「ねぇ…」
ニャヘマとニェヘマが口論してる最中、アリィはジークに耳打ちする。
アリィ「やっぱりあの2人私と同じ…」
ジーク「…言い方的にもそうだと思う。ただ…」
アリィ「言わないよ。言ったらきっと…」
ジーク「殺されるだろうな。」
そうジークとアリィが話していると、ふと乾いた音がなる。それはニャヘマがニェヘマを叩いた音だった。
ニャヘマ「こんの頑固者!分からないの!?私達、温情で生かしてもらってるの!最初に警告してくれたでしょ!?」
ニェヘマ「な、なにが…」
ニャヘマ「ルスベスタンさんは邪魔をするなって、言ってるの!正気じゃないって言ってたじゃない!本当に貴方は…!」
ジハード「待ってくれ、止まってくれ。」
ニャヘマとニェヘマの喧嘩をどう止めようか、考えている間に、一人がニャヘマの口を塞いだ。手の主はジハードだった。
ジハード「…悪魔の頼みなんて御免だろうけど、どうか聞いて欲しい。喧嘩を止めてくれ。…オケアノスが見たらどう思うか…。」
ノア「…オケアノス…?」
ジハード「この2人は俺に任せてくれないか。あまり言える立場では無いが…」
アマラ「…ルスベスタン、クリウスを迎えに行こう、その時に話そう。」
ルスベスタン「そうですね。」
アマラ「荷が重いかもしれないが、一応見張りをしていてくれないか?」
アリィ「分かった。」
ジーク「俺もそれでいい。」