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「トッ……?」

上げた顔はグルッペンの右腕、トントンによく似ていた。しかし、その左眼は光を失って紫色になっており、表情は悪魔めいていた。グルッペンも人の事は言えないが。

「どうした?総統殿?」

隊長は実に面白そうに聞いてくる。

(アレはトントン?いやしかしトントンなら赤いマフラーを巻いているだろうし、第一トントンはあんな表情はしないし、瞳もガーネットのように綺麗な色をしている筈だ……ああ!もう判らん!)

隊長は混乱しているグルッペンを薄ら嗤いながらながめている。

「貴様……。私はお前の相手をしている暇は無い。この先に居るであろう、私の右腕を取り戻しに来たのである。退かぬなら切り伏せるまでだ」

そう言うと、ずっと沈黙していた外交官が口角を釣り上げた。

「もう君の知るトントン君は何処にもいないよ。彼はJohnと言う名前だ。それは君も知っているだろう?そして……」

そう言うと隊長は薄く嗤い、

「俺の名前はJohn。本物の親が付けてくれた。コードネームなんかじゃ無い。本名だ」

「くそっ……トン氏!目を覚ませ!」

グルッペンはJohnことトントンに呼びかけるが、Johnば薄笑いを浮かべたまま聴く気は無いようだ。

「我が僕、Johnよ。我々国、総統。グルッペン・フューラーを、『殺せ』」

「Ja」


Johnはグルッペンが鍔迫り合いに弱い事を見抜いたのか、ひたすら接近して鍔迫り合いに持ち込んでくる。

ガキィン

「……トン氏……ッ!目を覚ませ……ッ!私はお前の敵では無い……ッ!トン氏ッ!」

グルッペンは必死にトントンに呼びかける。トントンは嘲笑うかのように、躱し、又は受け流しながら、やはりグルッペンの言葉に耳を貸す気はないようだ。

「トン氏ーーーッ‼︎」

「ッ……!」

「トン氏……お前は覚えて……いないかもしれないが、私は……お前の、戦友であり親友であり上司だったグルッペン・フューラー!」

Johnの剣を振るう手が止まった。

「トン氏……?」

「『ぐ……る……さん……?』」

「トン氏ッ!」

正気を取り戻したトントンに、グルッペンは抱きつく。

「トン氏……辛い思いをさせたな……」

そう言うと、トントンはボロボロと涙を流し始めた。しかし、紫色に変色した左眼から流れてくる涙は血の様に真っ赤だった。

「ふっ……ぐっ……う、うぅ……」

「トン氏、大丈夫だ。さぁ、帰ろう」

そう言いながら、グルッペンはトントンの涙を拭ってやった。

再びその目が世界を映すまで

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