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電車から降りて二人で先斗町のあっちこっちを捜し回って、昼になった。
「全然見つからないんね」
しょぼくれた様に伊華はそう言う。
「あ~、気分転換に何か食おうぜ。俺も腹減ったし」
そう言って俺は、伊華が昨日好きだと言っていたピッツァのあるイタリアンの店に伊華を引き連れて行った。
店に入ってみると雰囲気も良いし、むっちゃいい匂いがした。
「え?」
店に入るなり直ぐに伊華が声を上げた。
「姉さん、なんね?」
伊華の視線の先には確かに異様な雰囲気を纏っているドールがイタリア王国の化身と共に、居た。
「その声、その気配、伊華なんね、、、?」
そのドールは、伊華と同じ特徴的な語尾をしていた。彼女も今着ている服は正装なのだろう。イタリア王国兵の軍服であるものの、ズボンではなく、スカートだ。俺が、伊華と始めて会ったあの日に差し出したハンカチの様に、真っ白の木地に金色のデイジーの刺繍が施されていた。特徴的な真っ白の服と帽子、そして、彼女の目を覆うイタリア王国の真ん中にあるあの模様が付いた包帯、兄貴が言っていた特徴と同じだ。包帯をつけているのは、能力の関係、らしい。
伊華も、王華も驚き過ぎて唖然と立ち尽くしていた。
(これは、誰かがアクションを起こしてやらないとじゃないか)
俺は、内心世話が焼けるなんて思いながら、口を開いた。
「伊華、お姉さんと一緒に飯を食うといい」
俺はそう言って、立ち尽くしている伊華を半ば強制的に王華さんの隣に座らせた。
「イタ王さん、あんたは俺と一緒に、な」
何が起こっているのかわからない、そんな顔をして未だピッツァを食べているイタ王を強制的に俺と一緒に伊華達とは別のテーブルに座らせた。
「これで王華もちょっとは心が軽くなるといいんね」
席についた時、イタ王はそう呟いた。馬鹿そうに見えたが、流石戦時中の時代を生き抜いた奴と言うべきか、王華の心を理解しているみたいだ。それに、人を化かすのが上手い。
俺はピッツァを食いながら伊華達の会話に耳をすませた。