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第4話 「すれ違い」
「ただいま。」
家に着くと、赤は買い物袋をキッチンへ置いた。
時計を見る。
午後5時過ぎ。
(急がないと。)
制服のままエプロンをつける。
ご飯を炊いて、味噌汁を作る。
野菜を切って、肉を焼く。
洗濯物も取り込まなきゃ。
「……っ。」
一瞬、包丁を持つ手から力が抜けた。
危うく指を切りそうになり、慌てて持ち直す。
「危な……。」
誰も見ていない。
だから、小さく笑ってごまかした。
⸻
「ただいまー!」
橙が元気よく帰ってきた。
「おかえり。」
「今日ハンバーグ?」
「うん。」
「やった!」
その声を聞いて、黄も部屋から出てくる。
「ぼく、お手伝いする!」
「ありがとう。でも黄ちゃんは病み上がりだから座ってて。」
「えぇー。」
「元気になったらまたお願いね。」
「……わかった。」
少し残念そうに頷く黄。
その姿を見て、赤は優しく笑った。
⸻
ガチャッ。
「……ただいま。」
青だった。
イヤホンをつけたまま、ぶっきらぼうに靴を脱ぐ。
「おかえり。」
「……。」
返事はない。
そのまま部屋へ向かおうとする。
「青ちゃん、ご飯もうすぐだから。」
「あとで。」
「冷めちゃうよ。」
「別にいい。」
「ちゃんと食べないと——」
「うるさい。」
ピタッ。
赤の言葉が止まる。
「いちいち母親みたいなんだよ。」
その一言だけ残して、青は部屋へ入っていった。
静まり返るリビング。
黄が不安そうに赤を見る。
橙も何も言えない。
赤は少しだけ目を伏せると、
「……ご飯できたら呼ぶね。」
そう笑った。
⸻
その様子を、桃は廊下から見ていた。
(青の言い方……。)
気になったが、今言えば余計に空気が悪くなる。
そう思い、何も言えなかった。
よぞらもち
96
#青愛され?
歩夢(仮)
163
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夜。
紫が仕事から帰ってきた。
「ただいま。」
「おかえり。」
赤はいつも通り笑って迎える。
「今日も遅くまでありがとう。」
「いや……。」
紫は赤の顔を見て、少し眉をひそめた。
「疲れてる?」
「平気。」
またその言葉。
「そっか。」
紫はそれ以上聞かなかった。
聞きたくても、聞く時間も余裕もなかった。
⸻
食後。
みんながそれぞれの部屋へ戻る。
赤だけがキッチンに残っていた。
食器を洗い、シンクを拭く。
洗濯物を畳み、明日の準備をする。
時計は午後11時を回っていた。
「……。」
立ち上がろうとした瞬間。
グラッ——。
視界が暗くなる。
「っ……。」
とっさに流し台に手をつく。
荒い息を整えながら、小さくつぶやく。
「……まだ、大丈夫。」
その言葉は、自分に言い聞かせるためのものだった。
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コメント
3件
続きを待っています!欲張ってなんかいませんよ!
続き待ってます!
うわ、今回も心臓ぎゅってなったわ……。赤、絶対「大丈夫」って言うけど全然余裕ないじゃん。青の「母親みたい」発言、刺さりすぎてこっちまで痛かった。紫も気づいてるのに聞き出せないのもキツいし、桃が空気読んで黙るしかなかったのも分かるけど辛い。最後のグラッときて「まだ大丈夫」って自分に言い聞かせるところとか、リアルに家庭で起こりそうなすれ違いが詰まってて泣ける。誰か気づいてくれー!