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ruruha
全てがどうでもよくなった。
ロボットを扱う工業系の専門学校に通っていたが、どのような設計にするか揉めてしまい怒鳴り声を上げてしまった。人間関係が上手くいかず、呆れ果ててしまう。おまけにコミュ障だから和解することもできず、ギスギスしたまま。相手も不快な気持ちになっただろう。
ちょうど家へ帰る途中にある橋を渡っていたら、巨大な月が見えた。スーパームーンだ。
月が地球の周りを回る軌道はきれいな円ではなく楕円形をしているため、地球と月の距離は常に変動。この最接近のタイミングと満月が重なることで、普段より大きく明るく輝く現象が起きる。
巨大な月を眺めながら、僕は死を誓った。月明かりに照らされながら死ぬのが、自分の夢でそれが叶うのだ。なぜそんな不謹慎なことを考えていたのかというと、僕は昔から恵まれた環境に生まれてこなかったから。
幼い頃から僕は父親に何度も殴られていた。酒癖の悪い父は子供と母親に暴力を振るい、力という名の支配をしてくる。母親が何度も泣いているのを見ていたが、父は暴力をやめない。それどころか、ビンを母に投げるほどに暴力性が増していった。
「父さん、やめてよ!」
そう叫んでも父は、僕に何度も蹴りを入れてきた。それを守るように母がそれをガードし、蹴られにいっていた。愛する息子を守るためだ。
父は働いておらずニートで暴力的だったため、母は離婚届を出して別れた。それから僕は母と二人で暮らしていた。
女手一つで育てるのは賃金や給料的にも難しく、他の男と再婚。その男は暴力を振ることはせず、穏やかに暮らせた。しかし、あの時のことを思い出すと胸が痛い。
幼い頃にそんなことがあったせいか、人と話すのが怖かった。暴力を振られるんじゃないかと思いビクビクと震えてしまい、上手く話せない。たとえ話しても話が噛み合わず、喧嘩ばかりを繰り返していた。そんな嫌なことがあった時によく月を見ていた。太陽よりも一番落ち着くし、大好きだから。そんな綺麗な月の下で、死のうと考えた。死ねば楽になるから。
水面に顔を向けると、自分の顔がぼんやりと映り込む。それを見て母親の顔を思い出し、思いとどまってしまう。
「やっぱり死ぬのやめようかな」
そう考えていた時だ。振り返ると、トラックが脱線してこちらへ向かってきていた。どうやら軽自動車との衝突を回避したが、道路の脇にずれてしまったらしい。
逃げようとしたが逃げられず、そのまま橋の手すりとトラックに押しつぶされて、血を流して生き絶えた。遠くから声が聞こえてきて、それが薄らいでいく。
コメント
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プロローグ読みました〜!主人公の壮絶な過去と、月だけが心の拠り所だったっていうのが切なすぎる…。スーパームーンの下で死を誓った直後のトラック事故、あまりに皮肉で衝撃的でした。でも、お母さんの顔思い出して「やっぱりやめよう」って思った瞬間がすごく人間らしくて、胸がぎゅっとなりました。この先どうなるのか、めっちゃ気になる!続き待ってます!