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うわぁー(*/ω\*)キャー!!
わー! めっちゃ最高すぎ!-` 🤍 ´-
21 心揺。
それから、何度目かの日曜日。
今日の先生は夕方遅く、夜近くに来て私が上がる直前もカフェでコーヒーを飲んでいた。
とりあえず、仕事を終えてロッカーで着替える。なるべく、早く。
で、私服になった私でカフェにでると、先生はまだ、コーヒーを飲みながら文庫本を読んでいた。
ドキドキと心臓の音が早まるけど、その気持ちを抑えつつ、先生に話しかけた。
『 先生』
「おぉ、姫野。」
振り向いた先生はやっぱり驚いた顔なんてせず、緩く笑った。
「仕事終わったの?」
『 はい、終わりました』
「そ、お疲れ様ー」
『 お疲れ様です、』
先生がまた、本に目を移す。
何か言わないと、私がずっとここにいるのは、不自然。
『 ねぇ、先生』
私が話しかけたのは、ちゃんと話すネタを持っていたから。
「んー?」
『 これ!』
チラッとこっちを向いた先生に1冊の本の表紙を見せた。
「あ…」
『 これ、一足先に買っちゃいました!』
「うわー、まじかよ、読みたくなるじゃん」
こないだ先生が「焦らしプレイ」だって言ってた新刊。
今までは、先生が読んでた本を後追いして読んでたけど、
私が先に読んでたらどうなるんだろう…って
だって、先生は新刊を読まない。
だから、先生より先に新刊を読むなんて簡単な事だった。
「お前、それもう読んだの?」
『 あと、最終章だけです』
「面白い?」
『 面白いですよ、主人公が…』
「は!ちょ、まてまて!」
子供みたいに笑う先生がグイッと私を自分の方に引きつけるかと思ったら、
「言うなよ!」
パチッと私の口を先生の手が塞いだ。
コーヒーと、煙草の匂い。
「バカ!オレ、ネタバレだけは避けてんのよ」
『 …』
『 レビューとか書いてるやつぶっ飛ばしたくなるんだけど』
私の口を塞いだまま、先生は悪ガキみたいな顔で話し始める。
「もう、言わない?」
眉を上げて、私の顔を覗き込む。
コクコクと頷くと、先生も同じようにコクコクと頷いて、
私の口元から手を離した。
無意識に止めていた息をプハッーと吹き出すと「わりぃわりぃ」って笑って
自分の唇の前に人差し指をかざして、
「絶対ネタバレすんなよ?」
…はぁ、なにそれ。
このたった数分間で寿命が3年分くらい短くなったみたいだよ、
・
『 あの、先生…』
息を吹き出して、「なに?」と言う先生、
『 隣、いいですか?』