wki side
wki「ただいまー」
俺は耳が聞こえないもときと暮らしている
wki「聞こえねーか、、、」
wki「てか、さむっ、、、」
wki「あいつ暖房つけてないの、、、」
今は冬。
リビングの電気がついていない
wki「まさか、、、!」
wki「もとき!!」
もときがベランダの手すりに手をかけていた
wki「もとき!」
俺はもときの肩に手を置く
wki「はぁ、はぁ、、、もとき!」
もときは俺の存在に気づくと俯いて座り込んでしまった
wki「もとき、何しようと、してたの?」
俺はもときを怖がらせないように優しく手話で問いかけた
でも、もときは俯いたまま何も言わない
wki「どうして無視するの?」
俺はもときの顔を覗き込んだ
目からは涙が溢れていた
wki「さむいでしょ?」
もときは俺の服をぎゅっとつかむ
wki「へや、いこ?」
もときは小さく頷き部屋に向かっていった
mtk「、、、、、、」
wki「どうして、あんなこと、したの?」
もう一度問いかけてみる
mtk「僕のこと、興味ないんでしょ?」
と、悲しそうな顔で手話をしていた
wki「そんなことないよ?俺はもときが大好きだよ?」
落ち着かせようと優しくいう
mtk「そーなの?」
wki「うん。もちろん」
wki「とりあえず今日はもう寝よ?」
mtk「うん、、、」
wki「ほら、はやくおいで?」
mtk「うん、、、、」
wki「おやすみ」
mtk「、、、、、」
もときは俺と目を合わせずに眠りについた
ごんっごんっごんっ
鈍い音で目が覚めた
wki「もとき、、、いないっ!」
隣で寝ていたもときがいなくなっている事に気づいた
wki「もとき!」
急いで寝室のドアをあける
リビングにはもときがいた
自分の耳付近を殴り続けている
wki「もとき!」
聞こえないのはわかってる
俺はもときの肩をトントンと叩く
もときは驚いた表情を俺に見せた
wki「こんな夜遅くに何してんの?」
mtk「僕のこと大切だと思ってないんでしょ?」
wki「大切だって!」
俺はもう我慢ができなかった
ずっとこれの繰り返し
今まで我慢できたのに
もう無理だ、
wki「もういいよ。」
wki「俺はもときにとって邪魔な存在なんでしょ?」
嘘だ、、、俺はこんなこと言いたくないのに
言い出したら止まらない
いつしかもときのめには涙が溜まっていた
mtk「ぁかい、、、かい、、、」
小さくて今にも消えそうな声が聞こえてくる
wki「もういいよ、勝手にすれば」
俺はもときのことを突き放してしまった
胸の奥が痛む
寝室に戻ろうとすると温もりを感じた
俺の腹部を一周するように
mtk「ぁかい、、ぃぁなぃぇ」
その小さな声は今にも消えてしまいそうだった
苦しそうな声を一生懸命出していた
俺はますます胸が痛くなる
wki「、、、ごめん、、、」
もときに見えるように小さく手話をする
もときは俯いたまま何も言わなかった
耳付近からは血が垂れている
モコモコのパジャマには血の跡があった
俺は静かにもときの頭を撫でた
血が垂れている耳とは逆方向に目を向ける
そこにはヒビの入った補聴器が付けられていた
wki「ねぇ、もとき?」
wki「もう怒ってないから、」
補聴器の近くに口を近づけ大きな声で話す
もときはその言葉に気がついたのか顔をあげ俺のことを見つめる
wki「補聴器、、ヒビ入ってるよ?」
mtk「みないで、、」
mtk「みなかった事にして」
wki「耳が傷ついちゃうから」
mtk「もういいって!!うるさい!」
初めて俺に反抗した瞬間だった
mtk「、、、、ごめん」
さっきみたいになるのが嫌だったのかどんよりした空気を察して小さく手話をする
そのもときを見ていると胸が痛くなった
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