A2視点
気がつくと私は森林地帯で倒れていた
A2「うっ…」
頭が痛い
私は頭を抑えると同時に何故生きているのか…と疑問を覚えた
『塔』であの子と…9Sと私は相打ちになったはず……
なのにどうして生きているんだ…?
もしこれがハコの仕業であれば起きた瞬間に小言でも言いそうな気がするが……
生憎ここにはハコがいるような気配はない
つまり…私はなんらかの原因で自分で再起動をした……という事だ
最悪だ
また死に損なったのか……
身体を起こし動作確認をする
特に破損はなく見える
というか2Bが死んだ前と同じコンディションな気がする…
気のせいだろうか?
ゴォォォォォォッ
飛行ユニットの降下音が聞こえ空を見上げる
するとそこには2機の飛行ユニットが横並びで降下していた
私はあれを知っている
白のリーダー機体と並行して並ぶ黒の機体
あれは2Bと9Sだ
どうして2Bが生きている…?
私があの時頼まれて…殺したはずだ
しかも…9Sは私と相打ちになったはず…もし生きていたとしても少なからず傷を負っただろう
なぜだ
飛行ユニットはバンカーでしか生産されないヨルハ専用武装だ
バンカーが堕ちた今飛行ユニットは使用が不可能なはず
もし使用したとしてもあの時の9Sのように…汚染義体が使用していた汚染された飛行ユニットしか使えないはずだ
A2「どうなっているんだ…?」
私は一つの可能性を考えた
この世界は私達が過ごした過去の世界…
あれを見るに恐らくは2Bと9Sの降下作戦の時まで遡った世界なのだろう
ならば私の記憶があるように2B、9Sも記憶を持っているかもしれない…
9Sは…私と会いたくはないかもしれないが……
それでも色々と確認すべき事がある
そう結論付けた私はすぐさま2Bから受け継いだ白の契約に刻まれた記憶を思い出す
降下作戦後はレジスタンスキャンプに合流し、しばらく駐留するはずだ
その後は砂漠地帯で特殊個体、アダムおよびイヴとの戦闘
遊園地地帯での調査任務、パスカル村での情報収集…
複製サレタ街での9S鹵獲事件、アダムとの戦闘でイヴの破壊に成功
廃工場地帯での敵調査任務、レジスタンスキャンプで機械生命体の襲撃
アダムとの戦闘…汚染された9Sの介錯
2Bの記憶が鮮明に刻み込まれている白の契約は孤独と、優しさと…あの子で満ちていた
A2「…2B……」
早く…早く2B、9Sと合流し状況を整理しなければならないな…
私は砂漠地帯へ向かい始める
レジスタンスキャンプで合流してもいいが…色々と面倒事なりそうだからな
そういえば…パスカル村は無事なのだろうか
あの時は救えなかった…今はまだ残っているだろうか
私は砂漠地帯へ向かうついでにパスカル村に様子を見にいくことにした
機械生命体は嫌いだ
仲間を殺した、私から家族を奪った
本当なら私もあの時一緒に死にたかった
でも許されなかった
残されたからには…みんなが生かしてくれたから……
私は死ぬわけにはいかなかった
A2「私はまだ生きてるみたい…本当はあの時みんあと一緒に逝けたらよかったのに……」
A2「でも生き延びてやりたい事ができたよみんな…」
私はもういないであろう家族に、仲間に告げる
A2「今度こそ守ってみせるから」
私が生きる意味は仲間を守る事だ
だから…今度こそ家族を…2Bも、9Sも子供達やパスカルも…救ってみせる
私は私の道をゆく
全ては後悔しない結末の為に
森林地帯を抜けパスカル村に到着する
そこでは昔とわからず子供達が遊び回っていた
子供「キャキャッ」
懐かしい光景にふっと笑みが溢れる
子供「あノヒトダレー?」
そう言ってある子供が私を指差した
子供「アンドロイドノオネーチャン!」
また別の子供が叫んだ
すると子供達は一斉に私のことを「オネーチャン!」と連呼しながら近づいてきた
子供「オネーチャン!オネーチャン!アソンデー!!」
子供達「アソンデー!!」
A2「ふっ…あぁ」
A2「だがその前に…パスカルはいるか?」
子供「パスカルオジチャンなラオクニいルヨー!」
子供「コッチ!こッチ!」
そう言い私の手を引く子供達
私は子供達と村の奥へと歩いていった
村の奥には小さな小屋があった
子供「アソコにパスカルオジチャンイルヨー」
A2「そうか、案内ありがとうな」
子供「イイヨー!用事オワッタラアソンデネー!!」
子供達「アソンデネー!」
A2「わかってるよ、少し待っててくれ」
私は小屋の中へと足を進めた
中ではパスカルが本を読んでいた
パスカル「おや…勉強は終わったのですか?」
本を見ながらいうパスカルは目の前に子供達がいると思っているんだろう
A2「子供達なら外で遊んでいるぞ」
パスカル「…その声は……」
ゆっくりと本から目を離し私を見るパスカル
パスカル「…!アンドロイド…ですか……」
パスカル(このアンドロイドは…確か……A2さん…非常に危険な個体だったのでは……)
A2「警戒するのもわかるが私はパスカルに話があってきたんだ」
パスカル「私に…ですか?」
A2「あぁ…こう言っても信じてもらえないとは思うが……」
A2「私は未来から来たんだ」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!