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- おさでい side -
静かすぎる。
さっきまでの慌ただしさが嘘みたいに、
何も音がしない。
白い天井。
無機質な空間。
その真ん中にやなとがいる。
ベッドの上で、
ただ、眠っているみたいに。
「………」
誰も、すぐには言葉がでなかった。
機械の小さな音だけが、
一定に響いている。
「…まだ、起きないのか、」
にっしーがぽつりと呟く。
「医者は、すぐどうこうじゃないって言ってたけど…。」
たちばなさんの声も小さい。
“ 命に別状はない ”
そう言われた。
でも、
“ いつ起きるかは分からない ” とも言われた。
その言葉が、
ずっと頭に残ってる。
「……はは、」
らおが小さく笑う。
でも、
全然笑えてない。
「さっきまで普通に喋ってたのにさ」
「急にこれ、って意味わかんねぇよ」
らおの声が震えてる。
誰も返せない。
「……」
俺は、
ずっとやなとの横に立っていた。
何も言わず
ただ、見てる。
その視線は、
やなとから離れようとしない。
「……なぁ、」
だいきりさんが口を開く
「交代でつくか?」
「ずっと全員ここにいるのもあれだし」
現実的な提案。
でも、
「…やだ」
即答。
たちばなさんだった。
「……離れたくない」
その一言が、
この場の全員の気持ちだった。
「……俺も」
にっしーが小さく言う。
「目離したくない」
「……」
ゆたは、
何も言わない。
でも、
ベッドの端をぎゅっと握ってる。
その手が、
少し震えてる。
「……無理すんなよ、」
だいきりさんが小さく言う。
短い一言だが、
その優しさに
少しだけ空気が揺れる。
「……なと」
らおがゆっくり近づく。
ベッドの横に座る。
「聞こえてる?」
返事は、ない。
「…起きろよ」
小さく呟く。
「まだ、何も終わってないだろ」
声が少し掠れる
「…………ライブもあるしさ、」
「お前いないと、成立しねぇって、」
冗談みたいに言うけど
その奥は本気だった。
「……」
やなとは、動かない。
その現実が、
じわじわと重くなる。
「………っ、」
たちばなさんが顔を伏せる。
「………やだよ…」
小さく漏れる。
「………このままとか………」
涙が落ちる。
「っ、…」
にっしーが何か言おうとして
言葉を飲み込む。
言葉が、
追いつかない。
「……」
その時、
俺の体がやっと動いた。
ベッドの横に座る。
そして、
やなとの手を取る。
少し冷たい手。
ぎゅっと握る。
「………聞こえてるだろ」
静かな声。
「お前、そういうやつだし」
ほんの少しだけ
笑う。
「………だから戻ってこい」
「勝手に終わるな」
その言葉は、
強くて、
優しい。
「………俺ら、まだ何もやってねえぞ」
少しだけ声が震える。
それでも、
手を離さない。
「……置いてくな」
その一言だけ、
小さく落ちる。
部屋が、また静かになる。
でも、
さっきよりずっと重い。
誰も動かない。
ただ、
そこにいる。
やなとが目を開ける、その瞬間を、
待ち続けるみたいに。
コメント
2件
めっちゃ感動します😢 これからも頑張ってください!!