道「やっぱ…アウトやんな?」
私「…アウトやね、」
私には彼氏がいる。
そして目の前の彼にも、大切な彼女が居る。
私「これ分からへん、」
道「これはこの公式使えばええんやで。ほら、ここ書いてる。」
私「ほんまやー!駿佑やっぱ頭ええね!」
道「そうでも無いよ」
彼は幼なじみの 道枝 駿佑 と言う同い歳の高3。
彼女のみくちゃんとは付き合って3ヶ月らしく、もうそういう事もしたらしい。
最初の方は色々相談に乗っていたけど、私は彼氏とそういう事をした事がなかったのであまり力になれなかった。
でも結局なんでも出来る駿佑は、みくちゃんを優しく抱いたようで、みくちゃんから惚気話を聞いて “私の幼なじみ凄い!” と勝手に鼻が高くなった。
話を聞いた事を駿佑に伝えると、心底恥ずかしそうに
道「やめてや…、」
と顔を真っ赤にしていたのはいい思い出。
私「んー、これは?」
道「これは…あ、これ教科書に載ってへんねん。待ってや」
駿佑はいつも優しくて、彼女が出来ても私と今まで通り一緒に居てくれるし、今まで通りの距離。
駿佑と居ると落ち着くし、私も彼氏に内緒で駿佑の家に良く上がり込んでは勉強やゲームをしている。
道「あったあった、この資料のこれ見たらわかるで。」
私「ありがと〜!ホンマに流石やわ!」
道「はは、なんやねんそれ」
凄い素敵やと思うし、みくちゃんも大喜びやろうなぁ。
私「なぁ、みくちゃんとは最近遊んでるん?」
道「んー、一昨日家行ったかな」
私「…シた?」
道「え!?な、なんで急に、」
私「やって…私未だに出来てへんもん。」
彼氏と付き合って4ヶ月
駿佑達より少し早く付き合い始めたのにも関わらず、全くそういう雰囲気にならない。
私が悪いんかな…ボーっとしてるし、色気も無いし可愛くもないし。
道「そんな焦らんでも、自分らのペースでええんとちゃう?」
私「やけど…なんや私自身無くなってきてもうて、」
道「え?なんで、?可愛ええよ?」
私「ううん、可愛くないよ。体も…胸ないし特別細い訳でもないし、、ボーッとしとるし。」
道「おっとりしてるからええんやで?いい所いっぱいあるよ。」
私「ん…そうなんかなぁ、そうやとええなぁ」
ごちゃごちゃ言ってる私を慰めてくれた駿佑は、突然体制を変えて私の目を見る。
私「…?なに?」
道「可愛ええよ、ほんまに。自信持ちや?」
私「…ふふ、ありがとうね?駿佑も可愛ええね〜」
一生懸命慰めてくれる彼が可愛くて、頭を撫でながら鼻がくっつきそうなくらい顔を近づける。
道「…ん」
私「ん…ぅ、?」
すると突然前触れも無く、何かに口をふさがれた。
私「…なん、?なにぃ?」
道「…ごめ、」
私「わ、私…ッみくちゃんやないよ?」
道「ちが、ごめん!」
私「ちゅぅ…した事ないのに、」
道「ッ!ほんま、ホンマにごめん、」
私「これ…浮気、?」
道「やっぱ…アウトやんな?」
私「…アウトやね、」
私達はお互いに恋人が居るのにキスをした。
だけど何故か、駿佑とのキスは嫌な気持ちにならなかった。
道「ごめん、キモかったやんな」
私「いや…嫌やなかったし、全然大丈夫やで、?」
道「え…?」
私「え、?」
あ、もしかして駿佑は私とキスしちゃって後悔したんかな、
私「ごめ…ん、私はそんな嫌や無かったけど…駿佑は後悔してるやんな、?私が顔近づけちゃったから…」
道「ち、ちがうで、!」
私「私…彼氏に謝らな、」
道「ま、待って!」
私「へ…?」
道「ここであった事…内緒にしよ?」
私「…怒られるから?」
道「今の事も、この後のことも、今日会って勉強してたこと無かったことにしよ。」
私「…それはなんか嫌や、」
道「…キス、無かったことにしたくないん?」
私「ッ、駿佑は無かったことにしたい…ってこと、?」
道「俺は…」
少しの沈黙の後、もう一度口を塞がれた。
私「ん、…ぅん♡」
道「ふぅ…ん、チュッ」
吐息と微かなリップ音が部屋で静かに響いて、いやらしくて仕方ない。
私「ぁ、まって…」
道「俺は無かったことにしたくないよ、」
私「こんなんッダメや…ぁ、」
道「ダメって言うんやったら抵抗してや。」
私「…………できひん、」
道「このままやったらホンマに俺…」
私「…ええよ、」
道「…本気で言うてんの、?」
私「………私、駿佑がみくちゃんと付き合ったって聞いた時、ちょっと辛かった。」
道「え、?」
私「私の駿佑…取られたと思ってん。最低やろ?彼氏おったのに。」
道「…」
私「せやからな、?今からその…シちゃってもええかもって、思って…もうて、」
道「…俺も、付き合ったって聞いた時嫌やった。俺の方が嫌やったよ。絶対」
私「そうなん、?」
道「…俺のやのにって思った。」
そういう彼の顔はとても悔しそうで、とても彼女がいる人の顔ではなかった。
私「私ら最低なんかな」
道「…最低やで。」
私「…もっと酷いこと言っていい?」
道「なに?」
私「私な…みくちゃんが駿佑にされてること全部知りたい。されたい。やってずるいやん、私の方が駿佑と、んっ…ぅ、」
続きは言えないように口を塞がれた。
自分が酷いことを言っている自覚はあるし、最低な女だということの自覚もある。
目の前の彼も酷い人だと心底思う。
これから彼は、実の彼女にした事を幼なじみの私にする。
彼のこの唇も、触れる手も、体も全て、もう彼女に与えたもの。
初めてじゃないんや、私は初めてやのに。
道「ッはぁ、最低な事言ってええ?」
私「ん…なに?」
道「初めてやんな、?」
私「…うん」
道「めっちゃ嬉しい。」
私「…私も初めて欲しかった」
道「…俺、初めてやなくてよかったかも。」
私「なんで、?」
道「やって、初めてやないから色々分かるし…優しくできる。」
私「…ほんまにシちゃうんや、」
道「俺、最低やのに今めっちゃ幸せや」
私「うん…私も」
道「…優しくするから、」
優しく、壊れ物を扱うように抱かれた。
ゆっくり、ゆっくり。
何度も心配する彼に少し笑った。
全く痛くなくて、ずっと気持ちよくて、頭がおかしくなるかと思った。
私「きもち、ぃ♡しゅん、すけ、ふぁッあ♡」
道「ん、はぁ…見られたくない、こんな可愛ええの、ッ」
私「あ、ぃや!激しッんぅ♡」
たまに声が大きくなってしまったらキスされて、可愛い、可愛いとずっと褒めてくれて。
ただ勉強しに来ただけだったのに、こんなことになるなんて。
それとひとつ気づいたことがある。
それは、私は駿佑の事が前からずっと好きやったんやなってこと。
いる事が当たり前やったから、恋愛的に好きかなんて改まって考えたこと無かった。
抱かれた後、少し落ち着いてベッドで頭を撫でられている時に言った。
私「私な、駿佑の事好き。」
伝えると、彼は私にキスを落として
道「俺も…好き、」
と言ってまたキスをした。
浮気者が2人、幸せになるなんて。
神様が怒って私達になにかお仕置してくるかも。
私「今付き合ったら二股になる?」
道「なるよ。でも付き合って?離したくないから。彼氏の事は…別れるも別れんも好きにしてええし。」
私「そんなん出来へんよ。別れる」
道「そっか…俺も別れる。ほんまクズやな、俺ら」
私「ふふ、人間味あってええやん、?」
《浮気者》
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