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#溺愛
#恋愛
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「みなみ! 洗面所早く交代してよ!」
朝からお風呂に入っていた侑哉が、髪を乱暴に拭きながら隣に並んでくる。
でかいくせに、可愛いピンクのTシャツを着るつもりみたいだけど、敢えて何も言わずに化粧水を顔に塗り、ぺたぺたと肌に浸透させていく。
「あー!! もう! なんで化粧にそんな時間かけるのさ!」
隣でドライヤーを繋ぐとガンガン髪を乾かし始める。
嫌だ。隣から熱風が来ると保湿できないよー。
「狭い~~。玄関にも鏡あるからそっち行ってよ」
「玄関寒いじゃんか! ワックスとか洗面台の棚だし。みなみこそ化粧なら部屋でしろよ。そんなに変わらないんだし」
「何を!」
行きたくもない組み合わせでのうみたまご。
せめてオシャレでも楽しまなきゃやってらんないってのに。
言い争ってお互いの足を踏みあっているうちに本当に遅刻ギリギリの時間になってきたので、慌てて外へ飛び出す。
「ちょっ みなみ 待って!」
「私、靴に時間が……」
うあ。ドアを開けて直ぐに、駐車場に黒いAudiが停まっているのが見えてしまった。
「わーい。みなみ先生!」
ふんわり巻き毛カールした髪に、レトロな大柄花びらの黄色いミニワンピ。
確かに私の化粧なんて無駄に感じるぐらい、明美先生の服装から髪型から、若さを感じてしまう。
「待ち合わせ場所で、橘さんに会ったから私が案内して此処まで来ちゃいました。やーん、みなみ先生も可愛いー!気合入れてるじゃないですかっ」
にこにこと私の格好を見るけど、水色のブラウスに黒のロングスカートの無難な格好なのですが……。
「遅い。待ち合わせには10分前に来い」
車の前で偉そうに腕組をしているのは、サングラスをした部長だ。
ワックスで後ろに流された髪も、よく見たら高級ブランドの白いTシャツも。
ごつくて、長い指に良く似合う腕時計も。
――隙が無いです。
強いて言えば曇っているのにサングラスは要らないかなってぐらい。
分かってる。カッコいいから粗探ししたくなることぐらい。
「俺、バイクで行くから」
「えっ?乗らないの?」
家の鍵を閉めながら、ヘルメットを被っている侑哉はぶっきらぼうにそう言うと、バイクを吹かし始める。
侑哉が乗らないなら、私も後ろに乗って行かなきゃなけど、ロングスカートなんて選んじゃったよ。
ちょっと迷っていると、明美先生が元気よく手を上げて、ふんわりと侑哉の隣に並ぶ。
「はいはーい! 私、バイクの後ろ乗ってみたい!」
「まじ? そのミニスカじゃ寒いよ?」
「大丈夫! 侑哉くんの背中大きいし風よけになるでしょ」
「ひっで。いいよ、じゃあ、これ巻いて」
くしゃっと侑哉は笑うと、上着を明美先生に渡した。
渡したのはいい。明美先生が乗りたい気持ちも分かる!
けど二人が行ったら、私、
部長と二人っきりになるのですが……。