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前回までのあらすじ。
私は診察室に行った。人形の主治医、ウサギ頭の看護師が複数人、そして謎の呪文にあめだまさん。なによりここまでの記憶がないこと。
何もわからない。だがまた倒れてしまう。体調が日に日に悪化するのは感じた。
気づけば元の自分の病室に戻されていた。
倒れる前に感じた頭痛をまだじんわりと続いていた。
気分が悪い。危ないとも、怖いとも、どうしようとも考えられないほど身体のなにかが衰弱していた。
「…うっ」
本当に気分が悪い。
胃が締め付けられるように痛む。
喉の奥に違和感を感じた。
…あ、これダメなやつ。
その異物感を吐き出した。
酸っぱい匂いと身体の怠さしか感じられなかった。
私は荒く息を吐く。
本当に何かの病気なのか、先程までは微塵も感じていなかったそういう不安感がつのる。
体調不良の要因は薬の影響だとばかり思っていた。
しかし、もう何もわからなくなっていた。
不安と苦しさで涙が滲む。
「…もう嫌だよ」
その声は掠れていた。
「おねーちゃん!」
ふとあの愛らしい声が聞こえる。
ユメちゃんだ。
「だいじょーぶ?」
大丈夫ではない、そう言いたかった。
「大丈夫だよ、ユメちゃん」
ダメだった。
「おねーちゃん、ユメとおままごとしよ?」
ユメちゃんは私のベッドの汚れを気にせずよじのぼりこう言った。
「へ?」
とてもそんな体調ではなかった。
「ごめん、無理なんだ…体調…悪くて」
私はそう答えただけだった。
だが、
「ふーん」
その目は見たことないほど冷たく私を睨んでいた。
「やだ!」
ユメちゃんのそんな声が反響する。
「やだやだやだやだやだやだやだやだ!」
よっぽどやりたかったのか駄々をこね始めた。
「…ごめっ」
「もういいもん」
そう言うユメちゃんの目には光がなかった。
そしてその声に呼ばれたようにウサギ頭の看護師たちがワラワラとやってくる。
その看護師の中に一人、主治医の人形を抱えている者がいた。
主治医はあのカルテとクレヨンで紙に「×」を書き込んだ。
「手術が必要ですね」
看護師たちが一斉に言う。
ゾワッと血の気が引いた。
私は抗えない力で看護師たちに抑えつけられた。
「助けてっ!誰かっ!」
私の叫びも虚しくヒラヒラの白いレースの担架に私は乗せられる。
そして、看護師の一人が私の腕にニンジン色の注射を打った。
麻酔のようなものだったようで私は気を失う。
私はここに来てから何回も気を失っていた。その度に苦しみこの病院の異常性が自分の中で麻痺していた。
しかし、今回再確認した。
暗転する視界の中、上から覗き込むユメちゃんのピンクの瞳は妖しく光っていた。
コメント
1件
第4話、怖いのに引き込まれました……!体調が悪い中で無理におままごとを強いられる感じ、ユメちゃんの「やだやだ」からの一気に冷たい目に変わるシーン、ぞっとしました。あのピンクの瞳が最後に妖しく光る描写、すごく印象的で、この先どうなるんだろうとドキドキが止まりません。伏線がじわじわ効いてきますね…!