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「聴覚に異常はありませんが、耳の欠損部分は治らないですね。ノミはある程度取りますが、全部は取れないかもしれません」
「わかりました」
猫を見つけた後、悠磨と一緒に動物病院へ連れていった。シャンプーとノミ取りをしてもらい、ノミを殺す薬を貰った。地肌につけることでノミが死んでいくらしい。当分は猫のお手入れが柊磨たちの仕事になりそうだ。
「そういえば、名前は決めた?」
「名前?」
「そう。名前を呼んであげないと自分のことを言ってるのかわからないからね」
「…みんなで決めようかな」
「じゃあ柊磨が買い物から帰ってきたら決めよう」
柊磨は今猫用のグッズを緊急用として必要最低限なものだけ買ってきてくれている。2時間近く立ってるからもう帰ってきていると思う。
「ただいま」
「おかえり。どうだった?」
「聴覚に異常はないって。当分ノミ取りに努めないとだけど」
「ふーん?」
一旦今に入り、一息つく。猫がニャーと鳴いてみんなで目を合わせてそれから笑った。タイミングがいいとか綺麗な声だとか。
「あのさ、名前どうする?」
「美猫だからねぇ、ちゃんとした名前つけてあげないと」
「だな。俺はそーゆーの苦手だからパス」
「えぇー?みんなで考えようよ」
そう言い、柊磨にも名前を考えてもらう。
ふと、縁側から青空が見えた。まだ昼だ。一緒に映る雲はこの猫を連想させる。
「ソラ…とか?」
「そら?」
「ほら、見つけた時青空だったし、見て」
「あぁ、なるほどね」
悠磨が雲を見て納得したように言った。柊磨も口には出ていないがおそらくわかったのだろう。
「ソラ、君はこれからソラだよ」
「ニャー」
「また鳴いた」
「よく鳴くやつだな」
家族が増えた。綺麗な美猫、ソラ。生きているのをちゃんと感じる。