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悠磨side
「朝…か。よし」
今日は俺、悠磨の1日を紹介します。
起床は4時。宮司ということもあり神社に行ってすぐ祝詞を唱え、軽く掃除をする。
「あ、こんな所におみくじ…って、そりゃ捨てるか」
極たまに大凶のおみくじが捨てられていることがある。これを見ると同情心が湧いてくる。
最近家族が増えた。猫のソラだ。賢く、神社の敷地外へ出ないから放し飼いにしてある。最近は境内が涼しいのか、そこでよく寝ている。
「おはようソラ。ここの暮らしには慣れたか?」
「ニャー」
ソラが来てから1週間。随分人にも慣れてくれた。安心。
「そろそろ6時…ソラ、柊磨と魁ちゃん起こしてくれるか?」
「ニャー」
「…ま、むりだよね」
漫画みたいな事を想像して毎日起こしてくれと話しかけている。未だ起こしてくれたことはない。
「柊磨、いい加減起きろ」
「ぐがー」
俺の弟柊磨は寝相が悪い。北枕になってしまっている。いつも180度回転しているのだ。
「柊磨!起きろ!」
「グホォッ!?何すんだよ!」
「朝だ、朝食の準備して。俺は魁ちゃん起こすから」
「おー…あ、ソラじゃねーか。お前も悠磨に起こされたのか?」
「ソラはいつまで寝ててもいいんだよ」
「俺来世は猫になりてーなー…」
猫の過酷さを知らない奴が猫になりたいとほざいている。ソラが人間語を理解していたら柊磨が爪で血だらけにされていた。柊磨とソラを置いて魁ちゃんの部屋へ行く。
「魁ちゃーん。起きてる?」
「起きてる。おはよう」
魁ちゃんはその日によって起きる時間が変わる。今日は早い日だ。早い日はだいたい徹夜したか熟睡できたかのどちらかだが…。
「徹夜したでしょ」
「…さーて顔洗っおっと」
「ちょっと魁ちゃん?」
昨夜は徹夜したらしい。彼女の意思ではないことは知っている。寝付けない日があるのは当然だ。魁ちゃんみたいな人ならもってのほかだと理解はしている。だが寝て欲しい。
「いってきまーす」
「行ってらっしゃい」
魁ちゃんが学校へ向かい、俺たちは神社の仕事へ向かう。神社の仕事と言ってもいつも多忙なわけではない。地元だと大きい神社だが、有名なところと比べれば仕事の量は比にならない。
「お守りの補充終わったぞ」
「ありがとう。そういえばソラは? 」
「境内だろ」
境内を見に行く。案の定ソラはいた。この神社は生き物に深い縁があるから何かを感じ取っているのかもしれない。だとしたらソラがここによくいるのもわかる。
「今日の昼は何にしようか」
「ニャー」
5時半。魁ちゃんが帰ってくる時間だ。お腹を空かせて帰るから軽く食べられるものをいつも用意している。
「ただいまぁ」
「おかえり、おやつあるよ」
「あー…今日の夜ご飯ってなに?」
「親子丼」
「じゃあいいや」
おやつは用意するけどその日の夕食によって食べない。理由を聞くと、夜ご飯が食べられなくなるからと言っていた。改めて、女の子の胃袋は小さいと思う。特に魁ちゃんは食べる量が少ない。
「「「いただきます」」」
夜ご飯はみんなで今日あったことを話しながら(魁ちゃんの学校であったことを中心に)食べる。
「今日先輩に告白された」
「は?」
唐突なことすぎて威圧感が出てしまった。慌てて穏やかな口調に戻す。
「それで、魁ちゃんはなんて言ったの?」
「え、生き物がまだ苦手だから無理って」
「お前…厨二病みてーだな」
いつも口が悪い柊磨だが、今回だけは同意見だ。
「日本語もっと上手く使えるようになろうね」
「?うん」
わかってない様子。そんな魁ちゃんも可愛い。
ご飯を食べ終え、1番最後にお風呂に入って掃除して祝詞を唱えてから寝る。宮司ということにそこまでのプロ意識は持っていない。だが、今までの宮司がそうしてきたから俺もそうする。
「以上、悠磨の1日でした」