俺は昔っから空気みたいだった｡

誰にも見られない｡気づかれない｡

案外こういうのは辛いもん｡

話す人も居ないから,声が出なくなる｡

今日もやることは無いし,散歩でもしてた｡

でも,どうせ気づかれないなら｡

立ち入り禁止でもバレない｡

今日は立ち入り禁止の場所に入って

遊んでみることにした｡

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まずは工事現場｡

かなり深く穴が掘られていて,

落ちたらひとたまりもない様なくらい。

…

どうせ俺が落ちても誰も気づかないくせに｡

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理科室｡

そこら辺の学校に来た｡

誰も居ない｡休日だからだろうか｡

立ち入り禁止でも,入ってみたら

特に珍しい物は無かった｡

監視カメラのようなものが

こちらを見つめている｡

…

そこに俺は写ってるんだろうか｡

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実験所｡

一番来てみたかった所｡

立ち入り禁止の扉を開けてみた｡

かなり錆びているようで,

キィッとした音で耳が痛くなる｡

「…は…?」

俺が居た｡

縦長のカプセルの様な,

液体の入っている所に｡

嘘だ｡

うそだうそだうそだうそだ

うそだうそだうそだうそだ

うそだうそだうそだうそだ

うそだうそだうそだうそだ

うそだうそだうそだうそだ

うそだうそだうそだうそだ

だってこれは子供の時の俺｡

でもなんだか生きているような｡

息をしているような動きをしている｡

「ははは…」

じゃあ今までの俺の生活は?

どっちが本物?

俺はその場にあったバットを持った｡

「全部無くしちゃえ｡」

ガラスが飛び散る｡

俺は俺がいたカプセルを壊した｡