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#グロテスク
観測者l!!@暑すぎて溶けた☆
38,248
#mmmr
菜津/natsu
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「…はぁ、酷い目にあった…。」
星すらも当たらず、夜の闇に佇むゼラニウムを眺めながら、ため息をついた。
今の御茶屋に連動するかのように、ゼラニウムはただ風に揺られていた。
なんて静かなのだろう、聖堂の鐘は12時を指し鳴り響くというのに、ここで佇む花はそれに応じることもなく、静かに、風に乗っている。
「…行こうかな」
宣教師を心配させすぎたと感じた彼女は、ゆっくりと立ち上がり、ゼラニウムを横にして去っていった。
宣教師のいる部屋に入ると、彼はというと、のんきにその紙面を顔にしたまま、椅子の背に体重をかけるような姿勢で、鼻ちょうちんでも出さんといわんばかりに眠っていた。
「…なんなんですか…はぁ。」
御茶屋はその様子に拍子抜けすると、再びため息をついた。
「…寝よう、明日もメテヲさんに会わないといけないし。」
御茶屋は、少し気の沈んだ夜を月明かりの下で眠ることで、終わらせた。
「フフン、寝てると思った?」
「…………」
宣教師は紙面を外し、寝ているフリをやめてみる。
_そこには誰もいない。
御茶屋の声はバッチリ聞こえていた。
そのためか、完全に起きるタイミングを見逃したのだ。
「…うん?」
宣教師はきょろきょろと、誰もいない部屋を見渡した。
そして首を傾げる。
「あれーー??起きるの遅すぎた?」
そんなコメディっぽい冗談めかした声が、宣教師の部屋に響いた。
「…まぁいいや。」
「御茶屋には頑張って貰わないとだからね。」
「…にしても、随分大きくなったね。」
宣教師はふう、と一息つく。
深夜に似つかわしくないほど明るい自室、そこには宣教師たった1人が思いふけっていた。
「…私みたいな変なやつに絡まれないよう、彼女には逞しくなってもらわないといけない。」
「…どうして私を選んだのか、分からないけど。」
「…御茶屋には、こんな怪しい場所で縋っていて欲しくないんだよ。」
____
朝だ。
夜照らしていた月明かりは陽に代わり、眠りから覚める御茶屋をただ照らしている。
「…うぅん…」
ふかふかなベッドから身体を出し、少しの寒さに襲われる。
今は春だ、まだ花粉がつらく、布団から出た時の寒さが、倦怠感を生んでいる。
「はぁ…だから春って好きじゃないんですよ。」
この名は春を表していそう、なんて考える。だが、これはなんとなしにつけた名前であり、本当に春は苦手だ。
「…くしゅっ…」
押さえ込んだが、小さくくしゃみをして、御茶屋は立ち上がる。
静かな部屋なのだからどれだけ抑えても、というか御茶屋目線ではくしゃみのひとつすら目立つ。
_なんでこんなこと考えてるんでしょうね、私。
こういった日はたいてい昨日の嫌な記憶を塗りつぶす為に、関係ないと分かる考えを頭に飛散させている。
確かに応急処置くらいにはなるが、結局はあまり意味がないというのがオチ。
御茶屋はひとりため息をつき、自室の扉を開けた。
この聖堂そのものが森の奥にあるせいか、微かな不気味さを漂わせる、それでも広い廊下を、ただ一人歩いていた。
信仰者は少ない、比較的新しい宗教だ。
だがはるか未来、誰かにこの考えが伝わればいいと宣教師が考えている。
自分が誰かにとって変人になってしまったのは、ちょっとくらい宣教師の考えが入っているからだろう。
赤いカーペットが敷かれた、白い大理石の廊下を歩く。
妃らしい衣装なぞ持っている訳がない、可愛いだとかそういったものとは少し違う、なんだかマウントみたいで嫌なのだ。
(…人として生活出来れば、私はそれで良かった。)
(…そのためなら…なんでも良かったのかもね。)
御茶屋はため息をつく。
(…恩師にはずっと感謝しています、極限状態だった私を拾ってくれたのは、他でもない貴方。)
御茶屋は宣教師の部屋の扉に手をかけ、それを開ける。
宣教師は最初こそ昨日と同じように眠るふりをしていたが、それもすぐに元に戻す。
相も変わらず紙面を外すことはないが、今までとはどこか違い、その佇まいは、遠くを見ているような、いつもひょうきんとしている彼とは、どこか違う様子であった。
「…御茶屋さん。」
「…なんですか、宣教師さん。」
御茶屋がそういうと、宣教師は困ったように笑った。
「いやぁ、宣教師とかじゃなくて!”ガンマス”って呼んでくれたっていいんだよ?」
少し緊張の解けた、今までの彼らしさが顔を出す。
聖堂で教えを説いているガンマスは、ずっとこんな感じだったな、なんて考える。
宣教師_ガンマスは落ち着かせるように2回、机を軽く叩くと、先程までのガンマスに戻った。
今日の、どこか遠くを見るようなガンマスは、本来はこの広く静かな自室では正しいはずなのに、御茶屋にとってひどくミスマッチに感じる。
いつもの彼は、パーティーにあった飾りみたいなものなのかもしれない。
誰かを賑やかすのがあまりに上手いのかもしれない。
「いやぁ…私はずっと、御茶屋がここに居る状況をいいとは思ってなくてね。」
「…は?」
そんな賑やかしがいないこの空間は、なんだか大きな祭りが終わった翌朝のような、なんとも言えない虚無感がある。
「御茶屋を否定したいとかじゃないんだけどね…なんというか、君はまだ子供だから。」
「子供って…」
ガンマスの言葉に、にらむような視線を御茶屋は返す。
「…いや、21歳…ですよ?私。」
「21歳は大人じゃないんです?」
「いやぁ?私にとっちゃ子供だね。」
「私も、世間から見たらどちらかと言うと若いとはいえだ…御茶屋がこの世界で…ただ健やかに成長して、こんなところに関わらずに済むのなら、絶対にそっちの方が良かったと私は思ってるんだよ…。」