「くそーっ!!相変わらず倒れねぇな!!」
「男2人、本気で押してんだぞ!?」
ヒーロー候補生としての訓練の日々。本日も切島と砂藤の相手をしている。
「言ってるじゃん。丹田を鍛えてることと、操体術!!」
敢えなく2人は地面に突っ伏す。
「フィジカルギフテッド、立派な個性だぜ!!」
「ありがとう!!」
🌸は容赦なく2人に拳を振るう。そんな中、ついに最悪の事態が。
「🌸!?」
「お前の相手は私だ!!」
驚く砂藤をよそに、一直線に八百万の所へ。
「🌸さ!?」
サポート科に作ってもらった、腕につけるスリンガーから発射されたワイヤーが、八百万の頬をかすめた。
「(なんか違う!!)」
呪霊の腕に巻き付くワイヤー。不気味に笑って、ワイヤーごと🌸を呪力で吹き飛ばす。
「大丈夫!?」
「また緑谷君に受けとめてもらうとは。」
お礼を言って、相澤先生に目配せする。
「全員避難だ!!」
「そんな!?」
「良いから!!」
反論しようとした緑谷を庇うように双剣で呪霊の一撃を防ぎ、そのまま戦闘にもつれこむ。
「俺はここに残るぜ。」
爆豪が声をあげる。
「僕も。たとえ見えなくても、さっき吹っ飛ばされたのを受けとめたみたいに、🌸さんの身体の負担を軽くすることはできます。」
「1人で戦う仲間を置いて逃げるなんて出来ませんわ!!」
頷く皆を、風圧と砂煙が襲う。
「(誰かの個性とやらを吸収したかしら!?)」
呪霊の背中から刃が無限に伸びてくる。
「(一撃一撃が、身体に響く!!)」
果たしてこれを特級と呼称していいのか。防刃の筈のスーツから溢れる血など気にも止めず夢中で双剣を振るう。
サァ、ココカラダ。
「喋った!?」
驚く間もなく、幾つにも束になった刃が。
「(受け流せない!!)」
強引に弾いた衝撃で吹っ飛ぶが。受けとめたのは。
「爆豪君!?なんで皆いるの!?」
「テメェ、このままの戦い方だと死ぬぞ。」
質問には答えず、短く放った言葉に今までの出来事が走馬灯の如くかけ巡った。
「緑谷君達が!!」
爆豪は異変を察知して、少しでも早くたどり着けるようにと助走の手助けをした。
「皆には指一本触れさせない。誰1人死なせない。情けないところ見せられない…!!」
皆を襲わんとしていた無数の刃を悉く粉砕した。
「護って勝つんだ!!」
咆哮のような声をあげ、真っ向勝負を挑む。いつしか呪霊は炎も吐くように。
「(何個取り込んでる!?多く出る前にケリを!!)」
「🌸さん…!!」
最早目では追えず、飛び散る火花と熱風を頼りに緑谷は🌸の無事を祈った。
「(身体もスーツも限界!!)」
刃の束に加え炎も吐き出され、防ぎきれず炎を食らい悲鳴をあげる。
「駄目だ🌸ちゃん!!死んじまう!!」
「おいら見てらんねぇよ!!」
「お前が死んだら、誰がバケモノの相手するんだ!!」
顔を背ける上鳴と峰田に、歯を食いしばる轟。
「(まだ、何か出そうとしてる…!!)」
歪んだ眼鏡から見える呪霊は変形している最中だ。
「うぉぉっ!!」
捨て身で最後の攻撃に。慌てて呪霊も刃を放つ。刺さったことも気付かず、金属音を響かせつばぜり合いに。
「プルスウルトラァァァ!!」
つばぜり合いを征したのは🌸。振り上げた腕をクロスに降ろして呪霊の首を跳ねた。
「祓った、よ…。」
皆に届いたか届かないかの声で言って地面に崩れ落ちる。
🌸!!🌸!!
意識が遠のく中で聞こえたのは、懐かしい友の声だった。
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