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九条を追い払ったあの日以来、冬馬先生の態度は一変した。
それは優しさではなく、私の呼吸ひとつ
指先の動きひとつまでを完全に管理しようとする、狂気的な「独占」だった。
「……先生、さすがにこれは……!」
私は、先生から渡された最新のスマートフォンを手に、絶句していた。
「GPSの常時共有、および、俺の個人端末以外への着信制限だ。お前の安全を確保するためには、これくらい当然の処置だろう」
「安全って…ここは病院ですよ?」
「病院こそ、九条のような汚らわしい男が入り込む隙があるだろ」
先生は私の腰を引き寄せ、事務デスクの上に乗せるようにして、自分との間に閉じ込めた。
眼鏡の奥の瞳は、まるで愛しい標本を眺めるコレクターのように、私を隅々まで観察している。
「仕事以外の時間は、俺のマンションで過ごせ。今日からお前の荷物を運ばせる」
「えっ……!?同棲、ですか?」
「そうだが?……お前のすべてを俺が処方する」
ドSな言葉に、心臓が跳ね上がる。
それはプロポーズよりもずっと重く、逃げ場のない宣告だった。
拒絶しようとした唇は、彼の冷たい指先で強引に塞がれる。
先生の指が、私のブラウスの襟元から滑り込み
あの日つけた『痕』を確かめるように強く圧した。
痛いほどの刺激に、私の頭は思考を止めてしまう。
「……っ、ふぁ、……せん、せ…っ」
「いい声だ。…お前を誰の目にも触れさせたくない。このまま、この研究室に鍵をかけて、俺だけのものにしてしまいたい……」
掠れた声で囁きながら、彼は私の首筋に深く、熱い口づけを落とした。
仕事中だというのに、彼の執着は際限なく膨れ上がっていく。
私は気づいていた。
私を守るために牙を剥いた「氷の盾」は、今や私を閉じ込める「檻」へと姿を変えていることに。
けれど、その檻の中で彼に愛されることに
耐え難いほどの悦びを感じている自分も、確かに存在していた。
「……わかったら、返事は?」
「…はい、……先生」
冗談混じりの、けれど半分は本気の屈服。
冬馬先生は満足げに目を細めると、私の髪をひと房掬い上げ、恭しく、そして傲慢にキスをした。