部屋に入ると、すぐ後ろから抱きしめられた。
何となく予感はしていたし、嫌じゃなかった。
一旦身体を預けてから、グイグイ動いて腕を開かせた。
拒否されたと思った岩本がしゅんとするので、向き直って今度は俺から抱きつく。
💛「え」
💙「いいだろ別に。ちゃんとハグしたって」
玄関で靴も脱がずに抱き合った。
男同士で何だよと思っていたけど、自然とこうしている今は好きになるのに男も女もないんだと気付く。
💛「渡辺さん、俺のお願い聞いてくれませんか」
💙「内容による」
岩本があのくしゃくしゃ笑顔で俺を見る。
やめろその顔、俺が拒否権をなくすんだから。
💛「俺のこと、照って呼んでください」
💙「…ひかる」
💛「もう1回」
💙「ひかる」
💛「もっと…」
💙「ひかる、ひかる…」
照の胸に顔を寄せ、腕の中に包まれて、気持ちよく目を閉じながら俺は何度も照の名前を呼んだ。
💛「もしまた屋上行きたくなったら、呼んでください」
💙「うん」
💛「あと、たまにこうして家に来てください」
💙「うん」
💛「最後に、俺と付き合ってください」
💙「照…」
照はまるで壊れ物を扱うように優しく俺の髪を撫でた。
💙「いいよ。じゃあ俺の事も翔太って呼んで、呼び捨てでいいから」
💛「それはちょっと」
💙「何でだよ!」
顔を上げたらまたあの笑顔と目が合った。こいつ俺で遊んでるな。
💙「やっぱナシ!知らん!」
💛「ウソです、翔太」
腕からすり抜けようとしたけど、不意打ちで名前を呼ばれてあっさりまた腕に収められた。
💙「くそ、馬鹿力」
💛「力入れてないですよ」
💙「…なぁ、敬語もやめて」
他人行儀で寂しい、と素直な気持ちが口からこぼれた。
照はあの笑顔で『仕方ないなぁ』とか言ってたけど。
ハグを終え、照が買ってきてくれていたピースのケーキを食べて、ゴロゴロする俺と『少しだけ勉強させて』の照。
生徒会長に教わったやり方を実践していたら、勉強がわかってきて今とても楽しいらしい。
…俺も今度聞こうかな、『阿部ちゃん』に。
俺みたいな家庭環境の奴が近くにいると迷惑かけそうだったから家が荒れ始めてから距離を置いていたけど、実は阿部ちゃんと深澤とは小学校からの腐れ縁だ。
今度久しぶりに声を掛けてみようか、喜んでくれるといいな、なんて思いながら照の勉強を邪魔しまくっていたら『猫みたいな事すんな』と叱られた。
コメント
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タメ口でいいよ、からのは?お前年下じゃん敬語使えのエピソード鬼ほど好き💛💙
ねこ!!!!キターーーーーー
くっついたーー!!!嬉しい💛💙 🖤💚も楽しみ🫶🏻✨