テラーノベル
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「令和ちゃんと昭和ちゃん、体育祭で燃える」
「体育祭、だる……」
開会式の最中、令和ちゃんは日陰を探していた。
「何言ってるの!一年で一番熱い日だよ!」
隣で、昭和ちゃんがすでに燃えている。
「気温もね」
「違う!心が!」
「体調管理のほうが大事」
「気合いでなんとかなる!」
「ならない」
「次、二人三脚!」
「えっ」
「出るよね!?」
「聞いてない」
「さっき決まったの!」
「拒否権」
「ない!」
「はい、ペアはここ!」
先生に並ばされる。
「よろしくね!」
「転ばないでよ」
「転ばないよ!」
スタートラインに立つ。
「リズム大事だからね!」
「合理的にいく」
「いち、に!いち、に!」
「それ遅い」
「え!?」
「もっと速く」
「いちにいちにいちに!」
「急に雑」
パンッ!
スタート。
「いちに!」
「速いって!」
「効率!」
「待って足!!」
ガクン。
二人同時に崩れる。
「ほら!」
「そっちが遅いから!」
「合わせてよ!!」
「そっちが!」
「……いくよ」
「うん」
「いち、に」
「いち、に」
今度は少しだけ揃う。
「いち、に」
「いち、に」
さっきより速い。
「いける」
「いける!」
ゴール直前、
「いちにいちに!!」
「急に上げるなって!」
また転ぶ。
「最下位!」
「だろうね」
「悔しい!!」
「別に」
「なんで!?」
「結果見えてたし」
「見えてても悔しがろうよ!」
「無駄な感情」
「無駄じゃない!」
「次、綱引き!」
「まだあるの?」
「全部あるよ!」
「引けー!!」
昭和ちゃん、全力。
「もうちょい効率よく引けない?」
「綱に効率ある!?」
「力の分散とか」
「今それ言う!?」
「勝ったー!!」
「へえ」
「やったね!」
「まあ参加したし」
「テンション低い!」
昼休憩。
「ねえ、さっきの悔しくないの?」
「別に」
「ほんとに?」
「うん」
「……そっか」
少しだけ、昭和ちゃんが静かになる。
「午後、リレーあるよ」
「出ないけど」
「応援は!?」
「まあ」
「ちゃんとやってね!」
「はいはい」
リレー。
「がんばれー!!」
昭和ちゃん、全力で叫ぶ。
隣で、令和ちゃんは手を軽く叩く。
「もっと声出して!」
「喉痛くなる」
「気合い!!」
「またそれ」
アンカーが抜かれる。
「ああっ……!」
昭和ちゃんが、悔しそうに顔をしかめる。
気づいたら、
「……あとちょっと!」
令和ちゃんも、少しだけ声を出していた。
「いける!」
「そうそう!!」
ゴール。
二位。
「惜しい!!」
「まあまあ」
「でもよかったね!」
「……うん」
「ねえ」
「なに」
「さっき、応援してたじゃん!」
「してた?」
「してたよ!」
「まあ、ちょっと」
「やればできるじゃん!」
「効率よくね」
「それじゃ伝わんないの!」
閉会式。
「楽しかった!」
「疲れた」
「どっちもでしょ!」
「まあね」
「ねえ、また二人三脚やろうよ!」
「なんで」
「今度は勝てる気がする!」
「気がするだけでしょ」
「いいの!」
「次はさ」
「なに」
「ちゃんと合わせよ?」
「……まあ」
「いち、に」
「いち、に」
帰り道で、試しに歩く。
「遅い」
「合わせてるの!」
「効率悪い」
「うるさい!」
笑う。
少しだけ、歩幅が揃っていた。
琴音
#お嬢様
コメント
1件
読み終えました〜! 体育祭の二人三脚、最高でした! 令和ちゃんの「結果見えてたし」と昭和ちゃんの「無駄じゃない!」の掛け合いが、もう二人の関係性がぎゅっと詰まってて胸が熱くなりました。最後に帰り道で自然に歩幅が合うシーン、可愛すぎませんか…? ずるいです。二人の温度差が少しずつ溶けていく感じがたまらなかったです。ただひたすらに「また二人の日常が読みたい」と思わせる1話でした。