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🖤side
1日の仕事が終わると、しょっぴーはまた連絡すると言ってさっさと先に帰ってしまった。阿部ちゃんが俺に何か話したそうにしていたけれど、いちはやくラウールが駆け寄って来て、俺の家に遊びに来たいとねだり、一緒に帰ることになったので、遠慮したのかとうとう話しかけて来ることはなかった。俺の方としても、まだ普通にしていられる自信がなかったので幾分ほっとした。
🤍「ねぇ、めめ。スーパーに寄って帰ろう」
🖤「そうだな」
2人で夕飯の材料を買い、今ではだいぶ料理の腕を上げたラウールと一緒にキッチンで夕飯の支度をして食べる。ラウは成人してから何かと酒を飲みたがるので、ビール付きだ。
🤍「乾杯!!」
何が嬉しいのかラウールはずっとはしゃいで、2人でテレビを見たり、ゲームをしたりしながら過ごした。
🤍「ねぇ、めめ。また来ていい?」
帰り際、改まった口調でラウールが言う。
🖤「なんで今さら。俺ん家の鍵持ってって返さないくせに」
🤍「そうでした笑……でも、突然遊びに来て、めめのイイ人に出くわしたら悪いじゃん?」
🖤「…………」
タイムリーにそんなことを言うので驚く。どう答えたらいいか考えあぐねていると、ラウは言った。
🤍「めめ、しょっぴーと何かあった?」
🖤「…………………」
🤍「別に言わなくていいよ。でも、俺、何となく知ってるから、めめの気持ち。しょっぴー、悩んでるみたいだった」
🖤「しょっぴーと話したの?」
ラウは首を振る。
🤍「あんな変なしょっぴー、珍しいから。みんな思ったんじゃない?何かあったんじゃないかって。それに」
ラウは言葉を区切ると、言った。
🤍「めめもずっと変だったよ」
🖤「…………………」
🤍「俺、そろそろ帰るね。今日は楽しかった」
🖤「………またな」
頷き、帰ろうとするラウールの肩を俺は掴んだ。
🖤「今度から来る時は必ず連絡して」
🤍「………わかった」
ラウールはそれを聞くと真剣な表情に変わり、そのまま玄関を出て行った。
🤍side
今のって、そういう意味、だよね。
建物の外に出て、ため息を吐くと、めめの部屋のあたりを見上げた。煌々と点いた灯り。手元の合鍵をかちゃりと鳴らす。
めめがしょっぴーのことを好きなのは何となくわかっていた。3人いつも一緒にいたし、俺はめめの弟みたいなもんだから。今まであの2人は両想いって感じじゃなかったから、気楽に遊んでいたのに。
🤍「バランス、崩さないでよ。めめ」
思わず恨み言が口をついて出てくる。
めめといると落ち着くし、俺はめめが大好きだ。これからもいっぱい話もしたいし、相談にも乗ってもらいたい。でも、それはめめに今まで特定の恋人がいなかったからできたこと。いつかはこんな日が来るのかなとぼんやりと考えてはいたけど、相手がまさかのメンバーで、俺も大好きなしょっぴーだなんて悪い冗談にも程がある。
それにしてもまさかしょっぴーの方もめめが好きだなんて思わなかった。いつのまに2人はそんなに色っぽい関係になったんだろう。
しょっぴーは今日、一日中浮かない顔をしていたし、めめは一日中どこか地に足がついていないようなふわふわした感じで仕事していた。もちろん2人ともプロだから、カメラの前では平静を装ってはいたけど、ほかのメンバーもはっきりとではないが微妙な空気のズレを感じていたはずだ。ふっかさんなんて、意外と繊細だから一番そのズレに気づいていたんじゃないかな。
🤍「ヘンなことにならなきゃいいけど。本当に世話が焼けるやつら」
俺は手が焼ける仲良しの兄貴たちのことを想い、帰り道、もう一度そっとため息を吐いた。
コメント
3件
ほんとにどうなるんだ!?