テラーノベル
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「ミィちゃん服を整えてきなよ。」
ミィに声をかける。メイド服のエプロンは肩からずれ落ち、ダイヤ型に空いた穴の位置もずれて、可愛らしいピンク色の下着が少しだけ見えている。それに、ミィの表情――あんかけのように蕩けきっており、とても接客中に見せて良い表情ではない。ミィは「うん。」と惚けたような声色で一言だけ言うと、カウンターの奥にある、スタッフ用の扉の奥へと戻って行った。
そして入れ違いのタイミングで、ミィの事を目線で見送りながらマイが戻って来る。
マイの姿を改めて見ると——アイさんやミィには申し訳ないが、マイがダントツで、今日のこのコスチュームが似合っている。
普段より清楚なメイクではあるが若干のギャル感が残っているマイと、清楚だがセクシーなメイド服との相性は抜群だ。「このコスチュームは、マイのために仕立てられたのではないか?」と勘ぐってしまう程だ。
「ミィちゃん裏に入って行っちゃったか~。私、ミィちゃんの身体好きなんだよね~。もちろん顔も可愛いけれど――。」
お前、もし俺がそれを言ったら、耳にした女性達から袋叩きにされかねないからな。女性じゃなければ決して口にしてはならない言葉だぞ。
「ユウト君には分からないかもしれないけれど、ミィちゃんのおっぱい、大きくて張りが合って、それに敏感で凄く良い反応をしてくれるんだよね。」
マイさん、知っていますよ……と思うが言葉を飲み込む。それと同時に、昨晩の事を思い出した。ミィは俺の左腕に自分の身体を押し付けてきたのだ。勿論一番大きな凸部部分である胸も俺の腕に押し付けられていた。まるでパンパンに中身の入った水風船のような、ずっしりとした弾力を思い出す。
一方で、俺の右腕に抱き着いて眠っていたアイさんの胸の感触も思い出す。アイさん胸はミィの物よりもさらにボリューミーで、マシュマロのような柔らかさだった。谷間も深く、アイさんはパジャマを着ているにも関わらず、俺の右腕がアイさんの胸に包まれてしまった……って、馬鹿な事を思い出すんじゃない。
マイの方を見ると、彼女は目を細めニヤニヤとしている。
「もしかして想像しちゃった?」
「別に想像はしていないよ。」
そう、想像はしていない。ただ感触を思い出していただけだ。
「へー……。ユウト君のむっつりスケベ。」
そう話ながら、マイは俺のグラスと自身のグラスをカチャリと合わせ、ドリンクを一口飲んだ。
「俺は自認オープンスケベなんだけれどな。」
マイは口に含んだドリンクを吹き出しそうになり、咽ながら涙を浮かべる。
「変な事を言わないでよ~! もう!」
俺は結構真面目に言ったつもりだったんだけれどな……。そもそも、俺はちょっとエッチな”なろう系”小説を書いていた作家だ。自分の妄想全開のちょっとスケベな小説を全世界に大公開して、編集者に目を付けて貰いデビューしたのだから、完全にオープンなスケベに決まっているだろう……。そういえば、彼女達には俺の作家名や作品を知らないんだった。
マイは口をタオルで拭いながら話をする。
「そんなスケベなユウト君、ポイントカードを見せて。」
俺はマイの言葉に従い、財布からポイントカードを取り出す。
「ふむふむ……12ポイントまで貯まったみたいね……じゃあ、今日する?」
今日するとは……? 俺はマイの言葉の意味が理解できず首をかしげる。恐らく、この時の俺はアホみたいな顔をしていただろう。マイはそんな俺に気が付いたようで、ベロを「んべぇ~」と出して指を指す。
その瞬間全てを思い出しハッとした。マイは俺の表情に気が付き、カウンターの向こうから身を乗り出して俺に耳打ちをする。普段の人をからかうようなしゃべり方とは全然違う——色っぽく、セクシーで——深入りすると大変なことになりそうな——しかし、絡みついて逃げられないような声色——。
「ベロチューポイント達成おめでとう♡ 今日する? 1分間で中毒にしてあげる♡」
思わず首を縦に振ってしまいそうになる。マイは改めてカウンターの向こうに戻ったかと思うと、唇に人差し指をあて、舌を伸ばしてその指をチロチロと舐めている。
彼女の舌は以前に彼女が言った通り、長くて肉厚で、もし彼女とキスが出来たとしたら本当に気持ちが良いだろう。しかし……俺は……。
「しない。今度、どんな撮影にするか考えて来るから。」
#両片思い
当麻月菜
571
榎本くもり
2,030
#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
1,225
「は? 撮影する内容なんてベロチューでしょ? ムラムラした時にこのカードを使って、私とキスをすればいいじゃん。しかも家に帰ってから撮影した動画をオカズに出来るんだよ……。もしかして、私のこと嫌い?」
マイは普段の、どこか少し人を馬鹿にしたような、よく言えば余裕のある態度からは想像がつかない……まるで余裕のない、今にも泣きそうな表情で訴えかけてくる。
「マイさんの事は好きだよ。でも、俺はマイさんの事を性欲だけで好きな分けじゃない。気楽に楽しく話が出来る所も好きだし、明るく雰囲気の良い人柄も好きなんだ。もちろん、メッチャ可愛い所も好きだけれどね。」
確かにマイとキス出来る事は魅力的だ。これ以上ないくらい魅力的である。しかしそれでも、断らなければならないと感じていた。そう、”断らなければならない”のだ……。
コメント
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第56話読んだよ!ユウト君の「自認オープンスケベ」宣言には笑ったわw でもマイが本気で迫ってるのに「しない」って断るの、めっちゃ気になる…「断らなければならない」って強い言葉使ってるから、何か事情があるんだろうな。マイの普段とのギャップある表情も良かった!次回が楽しみ🔥