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地雷少女達の愛は重い ~助けたヤンデレ量産系巨乳美少女達にストーキングされて人生詰んだ件~
第57話 - 第57話 確かに甲斐性無しで、鈍感で、女の子からのアプローチに気が付けないけれど……。
12
2,075文字
2026年09月05日
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上手い表現が見つからないのだが……何というか……俺を誘う彼女はどこか危ういのだ。
ポイントカードを貯めたらキスをして貰う。これは俺が初めてメルラブへと訪れた日に、彼女から提案されたことだ。つまり、彼女は俺の事が好きでこの提案を持ち掛けた分けではない。それに、恐らく同じことを他の客にも提案をしているのだろう。
俺の事を誘う際の彼女の所作、話し方、舌の動き、……。自分が異性からどのように見られているか、そして異性が自分に何を求めているか全て計算しつくされているように見えた。しかし、そこに彼女の気持ちは入っていない。
だから断らなければならない。考え方が古くいのかもしれないが、キスやセックスは互いが互いを思いながら行わなければ、どちらかを不幸にする。そして俺が彼女とキスをした場合、俺は幸せを感じるかもしれないが、きっとマイは少なからず不幸になる。もちろん、好きでもない異性とキスやセックスが出来る人はいる。しかし、キスやセックスを”したい”人は少ないだろう。
マイは引きつった笑みを浮かべながら声を震わせる。
「私とキスをしたくないの? 嫌なところがあったら教えて欲しいな? すぐに直すから……。私、出来る限り努力をしているつもりなんだけれどおかしいなぁ……。香りや口臭にも気を付けているし、なるべく香りの薄いお酒を選んで、割材を多めに入れて……あ……あれ? ご、ごめんね。なんか変な事を言っちゃって……。こんな話、つまらないよね?」
「い……いや、だから、俺はマイさんに直して欲しい所があるわけじゃなくて、こういうことは好きな人同士で行う事なんだから……。」
その瞬間、後ろから衣服を整えたミィが現れ、カウンターに置かれたグラスを持ちながら俺とマイの顔を覗き込む。マイは、ミィと位置を入れ替わると、
「分かっているわよ。そんなこと……。今度、ユウト君がメルラブに来た時までに、もっと素敵な女性になれるように頑張るから……。」
と静かに言って、カウンターの裏にある扉の奥へと入って行った。ミィは訝しむような目線で俺の事を覗き込む。
「ユウト君、マイさんに何を言ったの?」
「別にマイさんを傷つけるようなことは言っていない……と思う。」
ミィはなおも疑うように俺の顔を覗き込む。刑事が容疑者を取り調べしているときは、こんな感じの空気なんだろうな……。そんな中、ミィはカウンターに置かれたポイントカードを、事件の手がかりを見つけた刑事のように拾い上げた。
「あ、このカード、動画撮影まで貯まっているじゃん。もしかしてマイさんに動画撮影を迫って、マイさんに酷い事を言った……とか?」
「酷い事は言っていないけれど、まあそんな所かな?」
事実は逆なんだけれど、説明が面倒過ぎる。まさかミィに「メルラブに初めて来た日に、マイさんから『ポイントカードを貯めたらベロチューしてあげる♡』って提案されたんだけれど、それを断ったらこうなったんだ。」なんて言えるわけがない。ここはミィに勘違いをされるかもしれないが受け入れる以外の道が見つからない。
ミィは俺に、カウンター越しにポイントカードを返すと腕を組んで、蔑むような眼で俺の事を見る。
「最低……。ユウト君は甲斐性無しで、鈍感で、女の子からのアプローチに気が付けない、ライトノベルやギャルゲーの鈍感系主人公みたいな人だとは思っていたけれど、女の子を傷つけるようなことは言わないって信じていたのに!!!」
俺もミィは俺の事を傷つけるようなことは言わな……いや、こいつは前からさり気なく俺の事をディスるような言葉を言うやつだった……。
それに正直、俺はマイの事を傷つけるようなことを言ったつもりは無い。しかし、どんな言葉が人を傷つけるか分からないものだ。俺は彼女にとって何か不味い事を言ってしまったのだろう。
「ミィちゃんの言う通りだな……。すまん。」
その後も、ミィからのお説教が続いた。俺はミィの有難いお話に相槌を打ちつつ、右耳から左耳に流していると、突然、カウンター越しにミィからの肩パンを受けた。
◆◆◆◆
この日、俺の前にマイが戻って来ることは無かった。俺は会計を済ませモヤモヤとした気持ちのまま外に出る。なぜマイはキスを断っただけで、あんなに動揺をしていたのだろう……まさか、実は俺の事が好きなのでは?
なんて、一瞬思ったがそれは無いだろう。コンカフェには多くのお客さんが訪れる。特に歌舞伎町に店舗を構えているメルラブには、俺が見ても憧れてしまうような、マジのイケメンも来る事があるのだ。それに一緒にいることが多いため普段は気にしないが、博巳も相当なイケメンだ。
彼らを普段から見慣れているマイが俺に一目ぼれをして、メルラブへと訪れた初日にあの提案をしてきたとは考えにくい。
であれば……なぜ……。と新宿駅へと向かいながら考えるが答えは見つからない。考えても仕方が無いので、今度メルラブに行ったときは、普段よりも少し良い酒を入れてマイに謝りつつ事情を聞くとしよう。
この時の俺は、そんな感じで軽く考えていたのだった……。
コメント
1件
第57話、読み終えました。ユウト君の「キスは互いを思いながら行うべき」という誠実な姿勢が、逆にマイさんを追い詰めてしまう切なさ……。彼女の引きつった笑顔と震える声がとてもリアルで、胸が締め付けられました。ミィちゃんの「甲斐性無しで鈍感」という言葉も、ユウト君の自己認識の甘さを浮き彫りにしていて、最後の「軽く考えていた」という一文が後々どう響くのか、続きが気になります!