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黙って考えているギレスラと対照的に、即座に私見を返したのは賢い担当のペトラである。
『な、なるほど…… あの場所に隠れられるとしたら、確かに理想的な隠れ場所だわね…… 灯台下暗し、って事よね…… 有りだと思うわレイブお兄ちゃん、ギレスラお兄ちゃんはどう思う?』
『ガッ! エエット、ペトラトレイブガイイナラ、イイカナァ?』
「んじゃ決まりだね♪ 僕たちはお師匠が帰ってくるまでの間、お師匠の本拠地である岩山の岩窟、その一番奥の倉庫の更に奥、秘密の場所へ隠れ潜む事としようじゃ無いか! さぁ、荷物をまとめて出発しようっ!」
『うん、そうしましょ!』
『ガ? ガガッ、ウ、ウン、ソウシマショー♪』
約一人はあんまり判っていない態(てい)であったが、これがスリーマンセルの醍醐味である。
そう、意見が割れた時には多数決、その為の奇数なのであった。
レイブとペトラが納得した上であれば、その後何の屈託も無い、そう言う仕組みなのである。
屈託の欠片(かけら)も見せずにギレスラが言う。
『アノアナ、ヒロゲラレルトイイネェ~』
「うーん、ソレが理想だけどねぇ、でもさ、最悪あの穴に寝転んだだけでも僕って隠れられるじゃない? だから大丈夫だよ、きっと」
『そうよね』
テクテクテクテク、それぞれ最低限の荷物を持って無言のままに歩き続けていたが、小一時間ほど経った時(大体四十五分位)、ペトラが話を始める。
『そう言えばさ? ほら、スターゲイザーの話が有ったじゃない? 人間が数千年以上生きているとか本当なのかしらね……』
レイブが前方だけを見ながら脚を運び続けて答える。
「うーん? 普通人間は長生きしても三百年位だからね~、多分あれじゃないかな? 名前を引き継いだとかの、良く聞く何代目、いいや何十代目のスターゲイザー、とか言うヤツじゃないのかなぁ?」
ギレスラも同様の意見だったようだ。
『リュウトマジュウハナガイキ、ニンゲンハミジカイ、ダカラ、キットソウ』
「だね」
『そうよね』
テクテクテクテク。
岩山の岩窟が遠目に見え始めた昼下がり、再びペトラが話し出した。
前回の発言から三時間ほど過ぎた辺りである。
『でもさ、世襲のしきたりかなんか判んないけどぉ、コダイ? ってヒトは顔の半分を焼いちゃってさ、もう一人のタツヤ? さん? はクロス状の切り傷を付けているなんて…… ちょっと、ううん、凄く驚いちゃったわよ、アタシぃ』
ギレスラが答える。
『コスプレ、ッテヤツジャナイノォ?』
『ギレスラ! アナタ古い言い回しを良く知っているわね、驚いたわ!』
『ガッガッ、アコガレ、ノソンザイヲマネル、ラシイヨォ、ガッ!』
「うーん、どうだろうねぇ? たかが憧れで自分の顔半分を焼いてしまったり、切り刻むことなんて出来る物だろうか…… うーん、若しかしたらオリジナル、本物なのかもしれないよね~」
『ええー? それは無いでしょうレイブお兄ちゃんー』
『ナイナイナイ! ソレハ、ナイヨォー』
「そっかぁ、無いかあぁ~、あ、着いたね♪」
そんな軽い会話を交わしていると程無く岩山の岩窟へと辿り着いてしまった子供達なのである。