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松鬼零華
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junp_
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心地のいい風が吹いた
少し湿った夕方の匂い
置いていったあなたのTシャツは
洗えないままでいるの
2つの足音が重なる瞬間
言葉にできないけど
胸がそっとあたたかくなった
ひとりになってそんな事を思い出して
揺らいだカーテンは少し物憂げな
それでいて飾らない今を生きていて
ひとりじゃないように少し思えました
センチメンタルだなって
あなたは笑うのかな
ー優莉花視点ー
心地のいい風が部屋に入りこむ。
そして、少し湿った夕方の匂いがする。
カーテンがゆっくり揺れていた。
私は、タンスの中から、1枚のTシャツを取り出す。
それは勇斗が置いていったものだった。
(洗おうかな……)
そう思って手に取るのに、結局洗濯機にはいれられない。
「……また今度でいいか」
そう呟いて、元の場所に戻した。
(このTシャツ、手に取ったの何回目だろ、笑)
そんなことをぼーっと考えていたら、窓の外から波の音が聞こえた気がした。
「ああ、そういえば……」
波の音で、少しだけ遠い記憶が揺れた。
いつだったか。覚えていないけれど、勇斗と仁人。
夕焼けに照られた砂の上で、2人の足音が同じテンポで重なっていて。
その時、その瞬間、言葉にできないけど、
胸がそっとあたたかくなった。
ひとりになってそんな事を思い出した。
「……楽しそうだったな」
誰に言うでもなくぽつりと呟く。なぜ、今このタイミングで思い出してしまったのか。
その声は誰にも届かない。
「ゆりかー?ご飯、できたよー!」
「はーい!今行く〜。」
いつの日かの余韻に浸っていた私は、母の声によって現実世界へと呼び戻される。
もう少しだけ、勇斗と、仁人と。3人での思い出に浸っていたかったな。
なんていう気持ちもあるが、食欲には勝てず、あっさりと私は食卓のある、リビングへ向かった。
夜になって、部屋に戻るとカーテンがまだ揺れていた。
(あれ?閉めなかったっけ?)
閉めたはずだと思っていた窓に、少しだけ隙間がある。
風が、だた優しい。
閉め忘れた窓から吹き込む風によって、揺らいでいるカーテンは少し物憂げに見えた。
「ピコン♪」
(、、、、?スマホか。)
ピコンとなったスマホを開いた。
すると、そこには開きっぱなしにしていた写真フォルダの画面が映しだされた。
私は、スマホを開いた目的なんて気にせず、一つ一つ思い出を振り返るように、写真をスクロールしていった。
(あ、この写真、、、、、、)
その写真には、満面の笑みで仁人を引っぱる勇斗と、嫌そうにしながらもノリノリである、今はもう会えない仁人の姿が写っていた。
(懐かしいなぁ。この写真も。笑。確か、ふざけあってる2人を私が面白がって撮ったんだよなぁ。)
(あの時、あの頃の2人、すっごく楽しそうだったな。)
そうなのだ。私は、くだらないことで本気になって笑い合っている2人を見るのが大好きだったんだ。
でも、そんな大好きな2人を見ることはもう、叶わない。
いつでも、誰にでも優しい勇斗は、いつも自分を飾らずに生きていて。
そんな勇斗がいてくれたから、私はひとりじゃないように思えた。
フォルダを開いたまま、俯いてしまう。
ふと、目線を上げるとまだ閉めていない窓が目にはいった。
(窓、閉めないと………)
頭ではわかっているのに、なかなか動き出せない。
………。もし、こんな私が見られていたら、
「センチメンタルだなぁ。笑」
ってあなたは笑うのかな。
どうも、主です
長くなってしまいました………!
少し、「藍」とは書き方を変えてみました。どうでしょうか、、、
読みにくくなってしまっていたら、すみません!🙇♀️
コメント
1件
静かで、それでいてすごく温かみのあるエピソードでした。特にTシャツを洗えないまましまい込む、その“今はまだ無理”っていう感覚がすごく伝わってきて……。過去の楽しかった時間をそっと抱きしめたくなる気持ち、よくわかります。詩のパートと優莉花の視点が響き合っていて、文章のリズムも心地よかったです。続き、気になります。