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「ああ、肩が凝った…」
やはり布団が合わないと寝付くのに時間がかかるな。
まあ、モブである俺には贅沢な事は言ってられないが…。
バックがそう思いながらメインルームに向かうと巨大な宇宙人の頭が目に入った。
つい先月回収したモブ宇宙人だ。
「あっ!目が覚めたんだな」
バックは自然にその宇宙人に話しかけた。
「ピロロロン!」
モブ宇宙人は振り返り、巨大な目を細めて謎の言語を発する。
見た感じでは多分友好的に接してくれているのだろう。しかし、
「何言ってるか分からねえ~」
「えっとハロ!」
「ピロン!」
モブ宇宙人はたくさんある足をクネクネ曲げながら答えた。
「多分、挨拶を交わしてくれてるのか?」
「えっと、アナタノナマエハ?」
「ピコン!」
「おう!」
冷や汗を感じながらバックは手を挙げた。
なんで俺まで片言な感じになってるんだよ。
パコン!パコン!
船全体に警報音が鳴り響いた。
「ワームドが出現したのか!」
よかった。これ以上モブ宇宙人と会話していたら変な雰囲気が流れてしょうがないからな。
「すぐに出現世界に向かってくれ」
突然現れたセイが言葉を発する。
コイツ、気配消すの上手過ぎじゃねえ?
急に現れるのは心臓に悪いからやめてほしい。
「分かったわ」
慌てた様子でメインルームに走ってきたミナは言った。
「ミナはこの前の戦いのダメージがまだ抜けてないだろ」
彼女の後に続いて入ってきたヴェインが言った。
「そうだぜ。今日は休んだ方がいいと思う」
バックもヴェインに続いた。
「でも…」
「そうだね。今回はミナはお休みしようか」
ミナが言葉を続ける前にセイが先手を打った。
そしてモブ宇宙人に視線を移す。
「変わりにエイリを連れて行ってくれよ。ワームドの事を話したら一緒に戦ってくれるってさ」
セイはモブ宇宙人にウインクした。
「エイリ?」
バックは首を傾げた。
「彼の名前だよ」
「ピロロン!」
モブ宇宙人は喜びを表すように触手を振り回した。
「セイ!お前、コイツの言葉が分かるのか!」
俺なんてコミュニケーションもまともに取れてる感じがしねえのに!
ずるい!
「全然!」
セイは真顔で返す。
意思疎通できてないのかよ!
「威張るな!」
バックは一瞬でも尊敬した俺の気持ちを返してほしいと叫びたかった。
「ピロン!」
「ほら、エイリもやる気満々みたいだよ」
セイはバックの心のうちなど気にも留めずに答える。
「そのエイリという名前はどこから出てきたんだよ」
「彼ってエイリアンキャラだろ。だから縮めてエイリだ」
「単純すぎる!お前はそれでいいのか?」
バックは妙なダンスを繰り広げるモブ宇宙人に問いかけた。
「ピロロン!」
「うん。やっぱり何言ってるか分からん」
でもまあ、笑ってるみたいだし嫌ではないのか…?
ならまあいいか。
「えっと、とりあえずよろしくな」
バックはモブ宇宙人の触手の一本と握手を交わしたのであった。