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ゆり組 喧嘩

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ゆり組 喧嘩

12 - 第12話

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2025年08月24日

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リーダーが去った後の静寂は、気まずさに満ちていた。先に沈黙を破ったのは、宮舘だった。
「…翔太」


宮舘は、隣に座る渡辺の方を向かずに、ポツリと呟いた。


「…ごめん」


その謝罪に、渡辺は、わざと乱暴に、そして棘のある声で返した。


「あぁ?何が?」


それは、素直になれない彼なりの、精一杯の強がりだった。


「何がって…俺が、MVの時、あんなこと言ったから…」

「今更なんだよ…」


渡辺は、吐き捨てるように言った。そして、一度吐き出してしまった毒は、もう止まらない。


「お前の、そういうとこが気に食わねぇんだよ!いつもいつも、上から目線で!俺のこと見下してんだろ!?ロイヤル気取ってんじゃねぇよ!」


次から次へと、心にもない罵詈雑言が口をついて出る。


違う。本当は、そんなことが言いたいんじゃない。本当は、今すぐにでも謝りたい。


心の中で叫んでいる、本当の気持ち。それは、あまりに子供っぽい、みっともない感情だった。

謝るなんて、プライドが邪魔をして。

口が裂けても言えるわけがない。


だから、渡辺は真逆の言葉で、自分の心を武装するしかなかった。


その罵声を、宮舘は、ただ黙って聞いていた。その横顔からは、どんな感情も読み取れない。その無反応さが、さらに渡辺を苛立たせた。


「…なんか言えよ!」


叫んだ瞬間、渡辺の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。怒りなのか、悔しさなのか、悲しさなのか、自分でもわからない、熱い涙だった。

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