私の名前はマシロ。
かつて私の住んでいた村では『白笛』と呼ばれる宝探しが行われていた。
これは、その村の少年だった私が、仲間と共に見つけ出した宝物のお話――。
◆ 【第一階層】
ここは、地上に存在する迷宮区の最上層にあたる場所。
そこは広大な空間となっており、見上げれば天井は高く、遥か遠くまで伸びているように見える。
しかしそれは錯覚であり、実際には天井の高さはおよそ三メートルほどしか無いようだ。
その身長差を利用して、彼女は僕の頭上に飛び乗ったのだ!
「ぐわああぁっ!?」
突然の衝撃に僕はバランスを失い、床の上に仰向けに倒れた。
そしてその上へ馬乗りになりながら、彼女は僕を見下ろしてニヤリと笑う。
「ふふん♪」……いや待ってくれよ。これは一体どういうこと? どうしてこんなことに? 混乱しつつも必死に考えを巡らせようとするけれど、上手くまとまらない。
そんな僕を見て、彼女――ナナチはますます愉快そうに笑みを深めるばかりだ。
「あーらら! ご愁傷様ね!」
そう言って笑うのは、赤毛の少年――ナナシだった。
場所は薄暗い森の中。そこに生えている木の一つの上に座りながら、眼下に広がる光景を見て笑っていたのだ。その視線の先にあるもの……それは、一匹の大きな魔獣によって襲われている一人の男の姿があった。
男は剣を手にして必死の形相を浮かべながらも応戦しているのだが、如何せん相手の力が強すぎるのか一方的に追い詰められていくばかりであった。
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