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ミナル達が妖精の里に辿り着いた同時刻…。

族のような人間が数名と、小太りの貴族のような格好をした男が一人。そして、布を頭まで被り顔が確認できない何者かがとある森の木の前に立ち会話を始める。

「……派手にやられてますね。」

「ふん。所詮は使い捨ての駒よ…。それよりも私が気になるのはこいつらの死因だ。」

「切り傷がやけに多いですが、相手は剣の使い手かなんかですか?」

「いいや、相手は狙い通りの『妖精族』に間違いは無い。その傷も彼女等が付けたものだろう。」

「では、この傷は彼女らが?一体どうやって……。」

「妖精族は人間と違い魔法に長けてる種族なんだよ。なんせ体そのものが『魔力マナ』の塊みたいなものだからな。」

「じゃあ、コイツらの傷はその魔法による攻撃って訳ですか…。」

「で、ここまでは別に不思議がることでは無い。妖精族が魔法を扱えるなんて少し考えれば辿り着ける解答こたえだ。

私が気になったのはその傷の多さだよ。」

「身を守ろうとしたのか腕や足、胴体にも切り傷が付いてますね。」

「この魔法は風を刃のようにして飛ばすといった魔法なんだが、ある程度扱えるようになるとこんなに沢山の刃を飛ばさなくとも、狙った箇所のみに飛ばし切り落とす、なんて使い方が一般的だが……。」

「これはどちらかと言いますとたくさんの刃を作り出しそのうちのいくつかが太い血管を切って出血多量で殺した、て感じですね。」

「狙った訳ではなく、偶然殺れたといった雰囲気が見て取れる。となると、こいつらが襲った妖精族はまだ若いヤツだということが分かる。」

「幼い妖精族、ですか……。

妖精族ですら希少価値が高いのにそれの子供となると、さらに価値は上がっていく…。」

「世の貴族はガキを好む傾向がある。ガキなら簡単に言うことを聞かせられるからな。変に年が上がったヤツらを買うよりかは、ガキの頃から『教育』して『常識』を変えてやる方が何倍も安く済むし、悦に浸れるものだ。」

「なら、今回のこの獲物は是が非でも手に入れたいですね!」

「あぁ。確実に手に入れるぞ、今回のこれが成功すれば私もだが、お前らも一生遊んで暮らせる金が手に入る。失敗は許されん、いいな?」

「当たり前ですよ!そのために俺らはアンタのもとで働きたかったんですから。」

「………。しかし今はすぐに行動せず人を集めた方がよろしいでしょう。」

口を開かなかった謎の人物が突如口を開き彼らに助言をする。

「……その心は?」

「まず彼らがこんな一本の木に括り付けられてること。もし妖精族が子供であるならここまでのことはしないでしょう。次にその前に立つ看板。明らかに第三者が介入した痕跡でしょう。そして、残る足跡と血痕…。足跡的にパーティーを組んでいること。更にこのパーティー恐らく妖精族とコンタクトしこの場を後にしてるでしょう。」

「つまり、そいつらは妖精族の片持ちを?」

「あくまで可能性の話ですが、妖精族に会ったというのに生きてることと、残された血痕も量が少ない。ということは人を嫌う妖精族に取り入ってることも考えられるということです。」

「仮にそうだとして、その人間共が必ずしも強いとは限らないのではないか?」

「確かにそうですが、だからと言って今の戦力で行った時に返り討ちにあったら元も子もないでしょう?それならば万全にして行った方が確実な上に、彼女らを手に入れるためと思えば必要経費で片付けられる。」

「…まぁ、そうだな。では、一度私らは拠点に戻り攻略組を選抜しよう。ここにはいつでも帰れるよう転移魔法を張っておけ。」

「えぇ。仰せのままに…」

転移魔法を地面に張り、それを確認した後貴族風の男と雇われたであろう族達は拠点に帰っていく。その姿を確認した魔術師のような男はなにか合図を送ると森の中から暗部と思わしき人物が数名現れ男の前に跪く。

「お呼びでしょうか…」

「この足跡を辿ることは可能か?」

「なんとかやってみます。」

「あぁ。行方が完全に分かれば御の字程度なものだ。複数の可能性が生まれた時はその可能性を記したものを用意しておいてもらう」

「はっ!」

「私はもう暫く彼の元に付いている。用がある場合は私が完全に一人になった時に現れてくれるとありがたい。」

「承知しております。」

「では、頼んだ。」

「はっ!」

そういい暗部と思わしき者たちは再び森にと姿を消し、魔術師のような男もそれを確認したあと貴族風の男の後を追う。


場面は戻り、大妖精から『自爆魔法』を伝授されることとなるミナルの視点にとなる。

「なぁ?そういえばこの魔法『自爆魔法』とか言ってるけど、物騒すぎるからなんか代わりの名前とかないの?」

「そうですねぇ…。この魔法を使ったアクス様も特に詠唱することなく消えた、と言われてますから名前なんて………。」

「じゃあ、なんか名前付けるか。」

「そうは言いましても私にそんなセンスはありません。」

「まぁ、俺もある訳じゃないんだけどさ…。でも不便じゃん。だから付けたいんだよな」

「……。では、アクス様が使った最後の魔法という事で【勇者の決意アクス・レゾリュスィヨン】なんてどうです?」

「伝説の名前が入りつつかっこよさも同居してるいい名前だな。欠点は発音が難しすぎるくらいか。」

「魔法を使う際にその魔法の名を叫ぶことは『詠唱』としてあるんですが、この魔法は正確に言えば『魔法』とは少し違った立ち位置にあるので、別に名を叫ぶ必要はないんですが……。」

「でも名前があった方がかっこいいし何より『自爆魔法』なんて物騒な名前よりマシでしょ?」

「確かに『自爆魔法』なんて言われたら敵味方双方がびっくりしちゃうものね?

性質はそれに近いものなんだけど…。」

「とにかくこれを会得すれば少なくとも俺にもまともな攻撃手段を得れるんだよな?」

「えぇその通りです。しかし、何度もお話するよう威力は『覚悟』の大きさに左右されます。その『覚悟』が偽りのものならあなたが殴った方が強いまであります。

心の底から浮き出る『覚悟』があって本来の力を…いや、それ以上を引き出せるものです。そこは履き違えないようにして下さい」

「はいはい把握把握……」

俺が強いんじゃなくてお前らが弱くて仲間が強いんだ

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