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次の日の昼休み、私は教室で窓の外を眺めながらぼんやりと考えていた。ダイキの言葉が頭の中で何度も反響して、陽翔とどう接すればいいのかもわからなくなっていた。こんな気持ちは初めてで、正直どう対処すればいいのか自分でもわからなかった。
すると、窓の反射で陽翔がこちらを見ているのが見えた。席でノートを開きながらも、私をちらりと見ている。その視線に気づくと心臓がドキッとして、慌てて目を逸らした。
(…なんでこっち見てるの?)
その時、リリカが私の机にドンっと手をついてきた。
「ヒメ、ランチ行こう!今日は屋上開放されてるって知ってた?」
リリカの元気な声が教室中に響いて、私は少し恥ずかしくなりながらも頷いた。
「うん、いいよ。でも…屋上ってあんまり行ったことないかも」
「ならちょうどいいじゃん!さ、行こ!」
リリカは私の腕を掴んで引っ張ると、そのまま教室を出ようとする。だが、その瞬間、陽翔の声が私たちを引き留めた。
「ヒメ、ちょっといい?」
振り返ると、陽翔が立ち上がってこちらを見ていた。クラスの数人が「あれ?」とざわつき始める。リリカは面白そうに私の肩を叩いてきた。
「おっと、これはもしやラブイベントの予感…?」
「ちょっと!そんなこと言わない!」
私は慌ててリリカを制止するが、彼女は全然気にする様子もない。むしろさらに興味津々な表情で陽翔を見ていた。
「…何?」
私は小さな声で陽翔に尋ねた。陽翔は少し考え込んだ後、短く言った。
「昼休み、時間ある?話したいことがあって」
その言葉に私は思わず固まってしまった。ダイキの昨日の言葉が頭をよぎり、どう返事をすればいいのかわからなくなった。
「え、えっと…」
言葉に詰まる私を見かねたのか、リリカが口を挟んだ。
「ヒメなら暇だよ!ね、ヒメ?」
「ちょっとリリカ!?」
私はリリカを睨むが、彼女は全然気にせず「さ、行っといで!」と私を陽翔の方に押し出す。陽翔は少し困った顔をしながらも「じゃあ、少しだけ」と言って私を教室の外に連れ出した。
校舎裏に着くと、陽翔は少し照れたように目を逸らしながら口を開いた。 こ、校舎裏…
「昨日さ、ダイキと話してたよな」
突然の話題に私は驚いた。
「まあそーですけど」
「正直、ちょっと気になってたんだ。ダイキとお前、どういう関係なんだろうって」
その言葉に私は言葉を失った。陽翔がこんなふうに私に直接聞いてくるなんて、想像もしていなかったからだ。
「どういう関係って…ただの幼馴染だよ?」
私はそう答えたけど、陽翔の表情はどこか釈然としない。 ダイジョブか?
「幼馴染、ね。でも、ダイキ…お前のこと、特別に思ってるっぽいよな」
その一言に、胸がぎゅっと締め付けられる。どうして陽翔がそんなことを知ってるの?昨日のダイキの言葉が頭をよぎり、顔が熱くなってくるのを感じた。
「そ、そんなこと…知らないよ」
私は視線を逸らして答えたが、陽翔は真剣な目で私を見つめていた。
「…お前がどう思ってるのかはわからないけど、俺は…」
陽翔が何かを言いかけた瞬間、突然チャイムが鳴った。昼休みが終わりを告げる音だ。 てゆーか、なんも聞こえなかった、小さすぎて声が。
「…続きはまた今度にする」
陽翔はそれだけ言うと、教室の方に戻っていった、
放課後、リリカは私を捕まえてニヤニヤしながら言った。
「で?陽翔は何て言ってきたの?」
「何も言ってないよ…」
私は曖昧に答えたけど、リリカの目は輝いている。
「へぇ~?じゃあ、ダイキと陽翔、どっちが気になる?」
「そんなの…!」
私は即座に否定しようとしたが、言葉に詰まった。その様子を見てリリカはさらに笑顔を深めた。
「ほらほら~!ヒメ、恋愛で頭いっぱいじゃん!面白いねぇ~」
リリカは楽しそうだけど、私は全然笑えなかった。この複雑な気持ちをどう整理すればいいのか、自分でもさっぱりわからなかったからだ。
(ダイキも陽翔も、どっちも私にとって大切な存在。でも…私が本当に好きなのは…?)
胸の中に渦巻く思いを抱えながら、私は帰り道を歩いていた。これからどうなるのか、自分でもわからない。だけど、このままではいけない気がしていた。