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2 - 俺の好きと君のすき② 💚❤️

♥

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2025年06月12日

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「翔太、聞いてる?」

「聞いてる聞いてる。」

「じゃあなんかアドバイスしてよ。」

「アドバイスったって、何言えやいいのかわかんねぇよ…。」

「真剣に考えてよ!!幼馴染が苦しんでるんだよ?」

「そこ幼馴染関係ねぇだろ。」



阿部へのアプローチ方法もいよいよネタが尽きた。

阿部の好きなクイズを出して話題を振ってみても、明日の天気を聞いてみても、お菓子を作って渡してみても、さりげなく手を繋いだり、下の名前で読んでみたりしても、全然振り向いてくれない。

万策尽きたと、なんでも相談できる翔太に、次の作戦になるような良いアイデアを聞いているのだが、全然教えてくれない。なんでよ。


「もしかして、翔太も阿部のこと好きなの?」

「は?」

「好きだから邪魔してるの?」

「バカか。そんなわけねぇだろ。俺が愛だの恋だのめんどくさくて、好きじゃねぇの知ってんだろ。阿部はただのメンバーです。」

「むぅ…。」


翔太は、恋愛に興味がないそうだ。学生の頃からやたらモテるのに、全部の告白を断っていた記憶がある。勿体無い。格好いいのに。

そういえば、女の子たちが翔太の塩対応?なところがいいって言っていたのを記憶の片隅で思い出した。


「そうだ!!」

机を無意識にバンッ!!と叩くと、翔太はビクッとして真顔で俺を見ていた。

いい事を思いついた。



「押してダメなら引く!!」


「翔太、ありがとう!わかった!」

「お、おう…」

翔太は引き気味に俺を凝視していた。






次の日の朝、俺は考えた作戦を実行しようと、燃えていた。



みんなでそれスノの収録前に集まって、最近食べたご飯の話や、次のライブの構成なんてものについて和気藹々と話していた。


「ごめん!お待たせ!おはよ!」


今日は金曜日、朝の情報番組を終えて、急いで楽屋に入ってきた阿部。

よし、これで役者は揃った、と一人ほくそ笑んだ。



「だて様、おはよう!」

「……おはよ」

プイッと顔を逸らして小さく返した。


「ぇ…」

と小さく聞こえた阿部の戸惑う声に胸が少し痛くなったが、これも作戦なのだ。

振り向いて欲しい、俺が好きだってこと気付いて欲しい、俺のことで少しくらい悩んで欲しい、そんな自分勝手な気持ちが一人歩きする。


驚いていたのは、どうやら阿部だけでは無かったようだ。

楽屋にいた俺と翔太以外のメンバーが全員固まり、部屋の中の空気が凍りついていた。


「え、だてさん、どしたの?」

「わからんわからん!急に冷たくなったで!?」

「んにゃ!?もしかして、ついに諦めちゃったの!?」

いつも通りドラマ班が騒ぎ出す。


今回ばかりは流石に様子がおかしいと感じたのか、目黒までこちらを気にしているようだった。


「ねぇ、しょっぴー、あれどうしたの?」

「ん?ぁあ、作戦だってよ。」

「作戦!?何それ楽しそう!!俺たちも混ざれないかなぁ!キャハハ!」

「やめとけラウール。こういうのは当人同士でやらせときな。でも悪い方向にいかないといいんだけどね。」


翔太に相談しておいてよかった。それとなく目黒、ラウール、照に話してくれたみたいだ。

翔太のこういう、さりげなく優しいところが親友として好きだ。



「だ、だて様、この間のお菓子、ありがとね!すごくおいしかった!」

「…別に。余ったから渡しただけだし。」

ううう…うれしい…。うれしいのに素直に言えないのってこんなに苦しいの!?

ごめん、阿部…。




「……ねぇ、だて様。」


暗い声で阿部に呼ばれ、体が強張る。

え、、怒ってる…?愛想悪かったかな…。翔太みたいな塩対応難しいよ…。


「な、なに?」

そっぽを向いて答えると、阿部が俺の顔を両手で掴んで、こちらを向かせた。


「こっち見て?俺、なんかした?だて様いつもと違う。何か怒ってるなら教えて?」

俺の目を見つめながら、そんなことを言ったかと思うと、阿部の顔は俺の耳元へ運ばれ、



「俺、寂しくて、おかしくなっちゃう。」


と、吐息混じりに囁かれた。




驚きと戸惑いと、恥ずかしさから、勢いよく座っていた椅子を後ろに吹っ飛ばした。

「な、ん…な、、、ぁ………あべのばかッ……!!!」と叫んで楽屋から飛び出した。



なんなの!!なんなの!!!??!俺のこと好きじゃないくせに!!

なんであんな、、あんな…っ…!!ずるい!!ずるい!!!ひどい!!!

好きじゃないなら、あんなことしないでよ…期待しちゃうじゃん……。

ばか………。


どくどくと早まる鼓動がうるさかった。




だて様が急に飛び出していってしまってから、俺は放心状態だった。

遠くで、メンバーたちの声が少し聞こえる。


「…あれは酷いわ……。」

「ほんまにな、、かわいそうやなぁ…だて…。」

「阿部ちゃんやってんねぇ、乙ゲーかよ。」


「え、何? 俺、なんかやっちゃった?」


「阿部、悪いことは言わないから、もう少しみやちゃんのこと考えてあげて…」

「え、う、うん?」



「…まぁ、効果は抜群だったんじゃねぇの?」


誰に言うでもなく、小さく翔太が呟いた。




収録が終わるのを見計らって、だて様の方に駆け寄る。

収録の休憩中は全然目を合わせてくれなくて、やっぱり、何か怒らせることをしてしまったんじゃないかと、不安で落ち着かなかった。



「だて様、ちょっと待って。ねぇってば。」

「なに」

むすっとした様子のだて様。


「俺やっぱりなんかしちゃったんだよね、全然心当たりなくて…。だて様とずっと気まずいのやだよ…。お願い、教えて?直すから。理由もわからないまま謝るのは変だし…。」


「…ここじゃやだ……。」

か細い声で、だて様は答えた。


「っ、そうだよね、、えっと、、よかったら、ご飯食べにいかない?その方が話しやすかったらだけど…。」


「! …………ぃく……。」


「っ、よかった!すぐ準備してくるね!」

楽屋に置いてある荷物を急いでまとめた。




阿部にご飯に誘われた。

どうしよう。

………すっっごく、すっごく、うれしい……。

もしかしたら、これが最後のチャンスかもしれない。

でもまだ告白する心の準備できてない……。


負けちゃダメだ。決めろ、宮舘涼太。

うまくいかなくても、自分の気持ちだけはちゃんと伝えるんだ。


そう思っても怖くて仕方なくて、翔太に駆け寄る。


「ねぇ、しょうた……。」

「ん?」

「俺、いってくる。」


その一言で全てを察してくれた翔太は、

「おう、行ってこい。頑張れよ。」


そう言って、俺の頭を撫でてくれた。


「手握ってくれる?」

「おう、ほらよ」


翔太の手は大きくて、暖かくて、すごく安心した。

小さい時から、大きさ以外は何も変わらない、あったかくて、不安なことが消えていく。



しばらく翔太と手を握り合い、頭を撫でてもらっていると、後ろから阿部が俺を呼んだ。


「…だて様、いこ?」

「あ、うん、、、しょうた、ありがと。またね。」

「おう」

「あ、また連絡するね…」

「いくよ…っ」


腕をぐっと引かれる。阿部の力は少し強くて、指が鈍く俺の手首に食い込んだ。




飲食店に向かう道中、阿部はずっと手を離してくれなくて、阿部に引っ張られるように夜の中を歩く。


「ぁべ、、阿部、、ねぇってば!」

「っ! へ?ごめん、ぼーっとしてた、、どしたの?」

「いたい、、、手はなして……?」

「あっ!ごめん!!無意識に掴んでたみたい……。」


パッと手を離した阿部と並んで歩く。

会話は無い。

ただ歩いてるだけで、それだけで幸せだった。

最後に二人きりでご飯を食べて、それだけで、もう十分に満たされたような気がしていた。



店に着き、個室に入る。

手始めにビールを頼む。阿部はお酒が弱いからと、烏龍茶を頼んだ。

飲み物が届き、乾杯をした。


阿部が話を切り出す。


「ごめんね、急に誘っちゃって。」

「っ、、ううん、大丈夫。俺も阿部とご飯行きたかったし…。」

「それで、、俺、だて様に何かしちゃったかな…。」

「あ、えっと…ごめん、、違うの……。」

「え?」


「俺ね、その、えっと、、、あの、、」



言わなくちゃ。伝えなくちゃ。






「俺、あべがすき。」


「へっ?」


「ずっとずっと、好きだったの。だから、お菓子作ってみたり、阿部の好きなものの話聞いたり、いきなり下の名前で呼んでみたり、、色々やってみたんだけど、阿部は全部俺がファンサしてるって思ってたでしょ?全然気付かないから、押してダメなら引いてみようって思って冷たくしたの…。ごめんね…。」


「そうだったんだ…。」


「ごめんね、気持ち悪いよね、、メンバーにこんなの…。ずっと言いたくて言えなかったから、今日言えてよかった。時間くれてありがとね。」

話を終わらせるように切り上げて、俺はビールを飲み干し、レモンサワーを頼んだ。








だて様から告白された。

正直、驚いた。

しかし、それ以上に俺の心は嬉しさに高鳴っていた。


今日、だて様と会って、冷たい態度を取られてから、ずっと生きた心地がしなかった。

最初は、推しに嫌われたからだと思っていたのだ。

しかし、だて様が翔太に頭を撫でられていて、親しげに手を繋いでいるのを見て、お腹の中が煮えたぎるような、沸々とした気持ちが込み上げてきた。


見たくなかった。


どうしてそんな気持ちになるのかはわからない。

だけど、だて様に触れるのが、だて様が見つめてくれるのが、俺以外なのはすごく嫌だった。


俺にいつも優しくしてくれるのに、いつも俺を見つめて微笑んでくれるのに、それが無いのも、すごく嫌だった。


いつもみたいにしてよ、と我儘な俺の心は今日一日中ずっと叫んでいた。

翔太と触れ合っているだて様を見て、俺の気持ちがどこにあるのか、全てわかった。





「だて様」

「んー?なぁに?」

「ちょ、どんだけ飲んだの!?」


だて様のことを考えていたら、随分と時間が経っていたようで、目の前にはだて様が開けたグラスが大量に並んでいた。


「だて様、俺、返事したいんだけど…。」

「やだ、ききたくない。今日まででいいから、すきでいさせてよ…」

そう言ってポロポロと涙をこぼすだて様の隣へ座り、指で顎を掬って上を向かせる。

流れる涙を親指で拭って、優しく口付けた。


「ん…」

ちゅ、と音を残して唇を離す。




「明日も明後日も、その次の日も、ずっとずっと、好きでいて?」


「…へ、ぁ、、ぅ…?」

突然のことに理解ができていないのか、もう酔ってしまっているのか、平仮名ばかりのだて様。





もうひと押しかな。


「涼太?」

「ぅん?」

「好きだよ。愛してる。涼太の好きも、心も体も、全部俺だけにちょうだい?」


「…ぁ………」


耳元で囁いた後、だて様の顔をもう一度見る。

真っ赤に染まって、驚いたように開く唇、その全てが愛おしくて、もう一度口付けた。










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