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次の日から、私の生活には変な緊張感が混じるようになった。
会社ではいつも通り、隙のない「桜川栞」をやってる。
だけど、帰宅してアパートの階段を上るたび、どうしても隣のドアを意識しちゃう。
「お、帰り。今日も鎧(よろい)が重そうじゃん」
ある日の夜、階段の踊り場で光と出くわした。
あいつは相変わらずのヨレヨレなジャージ姿。片手にはゴミ袋。
「……スーツを鎧とか言わないでよ」
「いや、そのハイヒールの音。カツカツうるさくて、『私に構うな!』って警報が鳴ってるみたいだなって」
光は面白そうに笑いながら、私の足元を見てきた。
「そんなん履いてたら、いざって時に走れないよ?」
「走る必要なんてないし。私は自分の居場所を、自分で守ってるだけだから」
私は努めて冷たく言い返して、あいつの横を通り過ぎた。