テラーノベル
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瑠渡🕊🤍
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全部終わってしまう
ベッドの上で膝を抱えて座っていた。 部屋の空気は重く、窓から差し込む街灯の光だけが、薄く床を照らす。
ソロワンマンから約1ヶ月。
あの夜の拍手は、まだ耳に残ってる。
でも、心の穴は埋まらへん。
むしろ、広がってる。
「辞めようか」
何度も、何度も思った。
このグループ、この活動、このすべてを。
でも、次の夏ツアーが決まってた。
『いれいす Summer Tour 2026 Irregular Vacation -Colorful Street-』
全国13都市、14公演。
過去最大規模。
メンバーみんなの夢が詰まったスケジュール。
止まれへん。止まってはいけない。
僕だけが抜けるわけには、いかへん。
天才組の絡みを見るたび、胸が焼ける。
火傷みたいに、じりじりと。
いむくんがりうちゃんに寄りかかって笑う姿。
いむくんが
「僕、しょーちゃんより、りうちゃんといる方が……」
って言った言葉が、頭の中でループする。
その痛みを、僕は自分のRapに詰め込んだ。
新曲のVerseで、 吐き出すように。
メンバーは
「初兎のRap、進化したな」
って褒めてくれる。
でも、本当の意味は、誰も気づかへん。
久しぶりのいむしょー配信。
『Hamsteria』ってゲームを一緒にやるって。
表向きは、昔みたいに仲良し。
「しょーちゃん、こっち来て!」
「あぁぁぁぁぁぁ⤴︎”」
「もーwww」
カメラの前では、笑顔で絡む。
でも、配信終わった瞬間。
いむくんは
「じゃあ、またね」
って、必要最低限の言葉だけ残して。
Discordの天才組専用のとこへ。
僕は画面を閉じて、ヘッドホンを外した。
胸が、ずしんと沈む。
総選挙では天才組、保護者組、しょまろで別れた。
正直辛い。
前の総選挙はぼろぼろだったからこそ天才組で勝たれたら僕の存在意義が無くなってしまう。だから死ぬ気で頑張った。
ある日の動画投稿。
タイトルに「金髪双子???ジーニアス天才組で撮ったよ」
サムネイルで、いむくんとりうちゃんが金髪で並んでる。
双子。
金髪双子。
僕がいたはずの、いむくんの隣。
とうとう、そこまで奪われた。
画面をスクロールする指が、震えた。
コメント欄は
「可愛い〜」
「天才組最高!」
僕の心は、粉々に砕ける音がした。
それでも最後まで進んだ。
僕の存在意義を否定されないように。
ファンが視聴率買ってても、蹴落としあってても。
僕は見て見ぬふりをして、勝つことのいってん縛りで頑張った。
当日途中までは2位だったが、結果は無事優勝。
(良かった)とまず思った。
これで僕は存在していいんだと認識して
「ほんま、接戦やったな~」
と何時も通り冗談めかしに笑いながらいったがdiscord上ではいむくんは泣いていた。
りうちゃんは何も言わず黙ってて。
ないちゃんとゆうくんは必要最低限のことしか言わない。
まろちゃんすら、複雑そうに
「ごめん」
と言っていた。
僕はいむくんに嫌われてしまったのはこういうとこなんだなと実感した。
夜中、ひとりで。
オーバードーズのことを考える。
薬を握りしめて、手が震える。
「これで、少しでも楽になるんちゃうか」
「邪魔者はいらんよな」
自傷も。
腕に刃を当てる瞬間、想像する。
血が流れ出して、痛みが心の痛みを上書きする。
でも、怖い。
死ぬのが怖いんじゃない。
生き残って、もっと苦しむのが怖い。
結局、何もできへん。
ただ、震えて、朝を待つだけ。 ご飯は、ほとんど鶏肉だけ。
胸肉を茹でて、味付けせずに食べる。
体調崩したら、ツアーに穴開ける。
それだけは、あかん。
あとは栄養サプリを何種類も飲んで、なんとか安定させる。
体重は、もう見たくない。
鏡に映る自分が、自分じゃない誰か。
でも、笑顔は作れる。
表では、完璧に。 心は、どんどん深く沈む。
暗い海の底へ。
光が届かへんところへ。
「なんで僕だけ」
「なんで僕の隣が、空いたまま」
いむくんが言っていた「空気読めない」って言葉が、ナイフみたいに刺さる。
毎晩、夢で同じ景色を見る。
いむくんがりうちゃんを抱きしめて、僕を見て笑う。
「しょーちゃん、空気読めないよね」
目が覚めて、息ができない。
涙も、もう枯れてる。
Rapで、全部吐き出して。
でも、まだ、ひとり。
いむくんの隣に、りうちゃんがいる。
輝いてる。 僕の心は、もう、壊れかけてる。
でも、止まれへん。
止まったら、全部終わってしまうから。
コメント
1件
続きほんとにありがとうございますっ!!めっちゃ嬉しいです😭😭うわぁ…3️⃣ちゃんがどんどん病んでいってて辛い……まじで報われてくれ…😢せめてメンバーさんの誰か一人だけでも気づいてくれれば〜…!!