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先輩の隣で、ずっと

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先輩の隣で、ずっと

9 - 未来の話をした夜

♥

27

2026年01月17日

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stpl 紫赤 様

誤字脱字注意

日本語おかしい




その日は、特別なことは何もなかった。

仕事を終えて、

二人で夕飯を食べて、

ソファで並んでテレビを見ていただけ。

でも、ふとした沈黙の中で、

こったろさんが口を開いた。

「……将来さ」

その一言で、胸が少し跳ねる。

「こえ君は、どんなふうに生きたい?」

急な質問だったけど、

不思議と、怖くはなかった。

「……前は、考える余裕なかったです」

正直に言う。

「会社に居続けられるかとか、

迷惑かけないかとか、そればっかりで」

こったろさんは、黙って聞いてくれている。

「でも今は……」

少しだけ、言葉を探して。

「毎日、ちゃんと仕事して、

帰る場所があって」

視線を上げる。

「……こったろさんが、隣にいたらいいなって」

言い終わる前に、

そっと、手を握られた。

「奇遇だね」

低くて、落ち着いた声。

「俺も、同じこと考えてた」

指先が、絡む。

「同棲とか、

転職とか、

環境は変わるかもしれない」

少し照れたみたいに、笑って。

「でも、こえ君と一緒に考えたい」

胸の奥が、じんわり熱くなる。

「……僕、まだ未熟ですよ」

「知ってる」

即答だった。

「でも、伸びる人だ」

親指で、僕の手の甲をなぞる。

「それに」

目が合う。

「弱いところも含めて、好きになったんだよ」

その言葉で、

胸に溜まっていた不安が、すっと溶けた。

「……僕も」

自然に、距離が縮まる。

「こったろさんとなら、

どんな未来でも、怖くないです」


キスは、ゆっくりだった。

いつもみたいに、

確かめるようで、でも少し違う。

将来の話をしたあとだからか、

触れ方が、いつもより大事そうで。

「……大丈夫?」

額を合わせて、聞かれる。

「……はい」

それだけで、十分だった。

抱きしめられると、

体温が、安心に変わる。

細かいことは、言葉にしなくていい。

ただ、名前を呼ばれて、

僕も、名前を呼んで。

触れられるたびに、

「選ばれている」って、何度も実感した。

激しさより、

優しさが、ずっと多い夜。

未来の話をしたあとだから、

この時間が、

一時的なものじゃないって分かっていた。


終わったあと、

こったろさんの胸に顔を埋める。

「……なんか、幸せですね」

そう呟くと、

髪を撫でられた。

「うん」

短い返事。

「これが、続いていくんだと思うと」

少し間を置いて。

「大事にしなきゃって思う」

その言葉に、胸がいっぱいになる。

「……僕も、こったろさんを支えられるようになります」

「もう、支えてるよ」

耳元で、優しく。

「一緒に生きるって、そういうことだろ」

そのまま、

腕の中に閉じ込められる。

未来は、まだ形がない。

でも。

隣にこの人がいるなら、

どんな形でも、きっと大丈夫だ。

そう思いながら、

僕は、静かに目を閉じた。

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