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#夢主設定無し
鷸水yutisa
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(株)姫神V
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私の袖が濡れたのは
夜露のせいばかりではなかった
月に向かって文句を垂れることも
月を崇める言葉も出ないくせに
まだこの体は
月を綺麗だと思うらしい
霞む視界に光が沁みる
川に反射する月すら美しい
毎日ここに来ては
覚悟を決め切ることもできず
車を夜露に濡らして帰る
凍てつく空気は肺を刺すけれど
どこか清々しくて
私の思考を鮮明にする
余計に覚悟が揺らいで崩れて
朝日が昇り切る前に
崖を離れる
コメント
4件
今回もめちゃくちゃ良かったです!!!! どうやら語り手は自分の車を使い、 とある崖に来ている様ですね… ですが夜露によって自身の車も 自身の服の袖も濡れてしまった様です… 語り手は月に文句を垂れたり、 月を崇める言葉も出て来ない様ですが 月を綺麗だと思ってしまうのですね… 川に反射する月を美しいと感じ、 凍てつく様な空気に思考が鮮明になる… 語り手が見つけたこの場所… とても素敵な場所ですね…
第162話「露」、読ませていただきました……。袖を濡らすのが夜露だけじゃなかった、っていう一行目から、もう胸が締め付けられました。月に文句も崇めもできないのに、それでも月を「綺麗だと思う」その矛盾みたいな感覚、すごくわかります。覚悟を決められずに車を露で濡らして帰る、その繰り返しの描写が静かで、でも確かにそこに温度がある。凍てつく空気を肺に入れたら、むしろ思考が鮮明になっちゃうっていうのも、リアルだなって。朝日が昇る前に崖を離れる、そのたびにまだここにいる自分がいて。すごく繊細なエピソードでした。ありがとうございます。