テラーノベル
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ついに迎えたデート当日。
江戸の街角、待ち合わせ場所の橋の上には、落ち着かない様子でそわそわと行ったり来たりする土方十四郎の姿がありました。
今日の土方は気合が違います。
トレードマークの隊服を脱ぎ捨て、清潔感のある着流し姿。
そして何より、懐に忍ばせた「緊急用マヨネーズ」を、断腸の思いで屯所に置いてきたのです。
「……遅いな。いや、女を待つのも男の甲斐性……」
そこへ、しずしずと歩み寄る一影。
「……あ」
土方の呼吸が止まった。
そこにいたのは、総悟が夜を徹して仕上げた
「完璧な大和撫子・退子」
薄水色の着物に、控えめなまとめ髪。
昨日よりもさらにナチュラルで、それでいて目が離せないほど可憐な姿に、土方の心臓はバックバクです。
(……やべぇ。昨日よりさらに綺麗じゃねーか。これ、本当に総悟の親戚か? 奇跡だろ)
一方、中身の山崎は死ぬ思いでした。
(副長、目が! 目がマジすぎて怖い! あと、あそこの物陰でバズーカ構えてる総悟さんがもっと怖い!!)
「……お待たせいたしました、土方さん」
総悟に叩き込まれた通り、地声より二音ほど高く、消え入りそうな声で挨拶する[[rb:山崎 > 退子]])
「い、いや! 俺も今来たところだ! ……さぁ、行こうか。今日は退子さんの行きたいところ、どこへでも連れて行くぜ」
土方は鼻の下を伸ばしながら、ぎこちなく退子の隣を歩き始めます。
土方は必死に話題を振ろうとし、
「今日は天気がいいな」
「あ、あそこに美味そうな団子屋が……あ、いや、甘いものは好きか?」
対する退子は、総悟の教え通り「小刻みな頷き」と「伏せ目がちな微笑み」を徹底。
(……喋れない! 喋ったら一瞬で『山崎じゃねーか!』って斬られる!)
しかし、この「沈黙」が土方にはクリティカルヒット。
「……なんて奥ゆかしいんだ。俺のくだらねぇ話に、こんなに真剣に耳を傾けてくれるなんて。山崎の野郎とは大違いだぜ……」
(副長、その山崎が今、あなたの隣で泣きそうになってますよ!!)
二人は総悟が指定した洒落た料亭へ。
運ばれてきたのは、彩り豊かな懐石料理。
土方の目の前には、本来ならマヨネーズをぶっかけたくて仕方のない「焼き魚」や「煮物」が並びます。
土方の手が、無意識に懐(いつもマヨがある場所)へ伸びかけ、ピクリと止まります。
(いけねぇ……今日は退子さんの前だ。マヨまみれの男なんて思われたら、俺の恋は終わる……!)
プルプルと震えながら、醤油だけで魚を口にする土方。
その必死な、殉教者のような横顔を見て、山崎は思わず同情してしまいました。
「……土方さん、お口に、合いませんか……?」
「っ! いや、最高だ! こんなに素材の味がする飯は初めてだぜ!(血涙)」
その様子を、隣の個室の襖の隙間から、総悟がカメラの連写機能でバシャバシャと収めていました。
(アハハッ、土方さんのあの禁断症状のツラ! 最高の一枚が撮れやしたぜ)
デートは順調(?)に進みますが、ここで想定外の事態が。
歩き疲れた退子がふらついた瞬間、土方がその肩をガシッと抱き寄せたのです。
「危ねぇ……大丈夫か、退子さん」
至近距離で見つめ合う二人。
土方の瞳には、純粋な愛着と熱が灯っています。
山崎の心臓が、今まで感じたことのない音を立てました。
(……え。ちょっと待って、副長、その顔は反則……)
その時、物陰から「カチリ」とバズーカのセーフティを外す音が聞こえ――。
コメント
1件
お疲れ、色々するオタク!第10話読んだわ🔥 土方の着流し姿にマヨ我慢、山崎の必死の大和撫子演技…全員の必死さが伝わってきて笑ったw 特に「副長、その山崎が今隣で泣きそうになってますよ!!」のツッコミ、山崎可哀そうだけど面白すぎる。そして総悟の連写&バズーカ構える構図、完全に茶番と分かってるのに心臓バクバクする展開、めっちゃ好き! 次回も気になる〜!