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私の友人が以前言っていた事があったのですが、「お墓参りに行って幽霊を見た人はいない」そうです。確かに死んだ人が成仏して霊になって現れるなんて事は聞いた事がありませんし、もしそんな事になったら大変な騒ぎになるでしょうね。それに死んでしまった人は天国とか地獄とかそういう所へ行ったのだと思いますし、もう現世に戻って来ることはないと思うんですよね。ただ、亡くなった人の魂というのは生きている人間とは少し違う存在になっているのではないかと思うんです。それは何かと言いますと、簡単に言うと魂の質が違うんだと思います。質と言うと難しい言い方になってしまいましたけど要はその人だけが持つ特別なエネルギーみたいなものだと思うんです。その人にしか無い強い想いがその人を引き寄せたり守ったりしているんじゃないかなって思うんですよね。なので、その人に縁のある人や物がある場所へ行くとその人と繋がりやすくなったりするのかなって思ったりしました。あとこれは私が勝手に思っていることなんですが、亡くなった人も自分の意思ではこの世に戻ってくることが出来ないだけで本当はずっと見守ってくれているような気がします。だから私はこれから先どんなことがあっても決して後ろを振り向かず前だけを向いて生きていこうと思いました。
―――8月某日 都内某所にて―――
「おい!しっかりしろ!」
「うっ……あぁ……」
男は目の前で倒れている少年を抱き抱えていた。少年の顔色は悪く呼吸をする度にヒューヒューと喉の奥から音が鳴っている。恐らくこのままだと数分以内に命を落とすことになるであろうことは誰の目から見ても明らかであった。
「くそっ!!どうしてこんなことに!!」
男の叫び声を聞いた他の者達が集まってくる。その中には少年の母親と思われる女性の姿もあった。
「あなた!悠斗さんは!?」
女性は慌てて駆け寄ると倒れている息子の名前を呼んだ。しかし、母親の声に応えるかのように息子の口から言葉が漏れる。
「……母さん」
母親は自分の目を疑うように何度も瞬きをした。
「お前!意識があるのか!?」
息子はゆっくりと上半身を起こすと辺りを見渡して呟いた。
「ここは?」
母親に抱きつかれながら少年は立ち上がる。二人は涙を流していた。
「良かった……本当によかった」
二人の喜びの声を聞いた周囲の人々は皆一様に笑顔になった。
「おめでとうございます」
医者の言葉を聞きながら母親が言う。
「ありがとうございました先生!」
病院からの帰り道、母親は疲れ果てて眠ってしまった我が子の頭を撫でながら言った。
「今日は頑張ってくれたね。ゆっくり休みなさい」
「……んぁ?あー……うん」
夢の中で返事をする子供を見て、母親はクスリと笑みを浮かべると再び歩き出した。
目が覚めた。
時計を見ると時刻はまだ早朝と言える時間帯だった。ベッドから出てカーテンを開けると眩しい光が部屋に差し込んでくる。
俺は伸びをして軽くストレッチを行う。体を動かす度に全身の骨がバキボキと音をたてた。
顔を洗って出直してきなさい!………………