テラーノベル
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すみません更新が遅れました
『ぃ”ッたいなぁッ!!!!!』
ここ数日間、右腕、腹、特に腹の怪我がめちゃくちゃ痛いのである
まぁずっと痛みが続けば慣れるよりもストレスが大きいのだろう
「落ち着け我が守護者よ」
起きたばかりなのか眠たそうにゾーイが言う
そりゃそうだ、日が昇ってすらいない真夜中なのだから
た
『…仕方がないだろう……私は散歩でもしてくる』
「…なら『ゾーイは付いて来るな』…なっ」
ショックを受けたのか声のトーンが上がったゾーイを無視しアイリーンは歩く
数秒間、ピタリと立ち止まり振り返る
『私は強い方だし、大丈夫』
圧倒的な自信、だが不安は拭えないのだろう
「…もしも何かあったらすぐに助けを呼ぶんだぞ」
『…嗚呼』
少し不屈そうな顔をしてから暗闇に紛れていった
小さな女の子、アイリーンだ
首を左右に傾げて不思議そうな顔してからソレを抱き上げる
『ママ、これ何?』
抱きしめていたそれをバッ、と母親の前に突き出す
「きゃあっ!?アイリーン何処からっその…それをっ!!」
アイリーンと目元が良く似た母親らしき人物が顔を真っ青にし金切り声を上げる
『.…???』
終始困惑しているアイリーンと母親らしき人物、そしてソレもまたアイリーンと似た様な表情をしている
『.…ママー…ただのお馬さんだよ』
呆れたようにアイリーンが言う
「それは…ただのお馬さんじゃないの…人を食…その馬は草じゃなくて肉を食べるのよ!」
『ふーん、でもこの子は群れから見放されてたよ………あっ…お兄ちゃん暴れてる』
アイリーンが指を刺しその向こうにはアイリーンより4、5歳程年上だと思われる男の子がゴボゴボ溺れていた
「きゃぁぁあああっ」
母親は正に顔面蒼白、アイリーンはそれを面白がって見ていた
『その後私が悪いって事になって父上に拳骨を喰らったんだったか』
そういえばあの後私が駄々を捏ねたから母上が私を傷付けないようにゾーイの歯の隙間に粘土を詰めてたっけな
少し口角を上げる、だが兄の存在を思い出す
スッと口角が下がり溜息を付く
『……はぁ……そろそろ戻るか』
空から満遍なく広がっている星を見てから寝床へ戻った
ぢぢぢぢぢ、と鳥の囀りがして目を覚ます
『ゾーイ行くぞ』
「…」
『ゾーイ?』
昨日よりはマシな朝を迎え気分が良かった……のだが
「……」
『何でそんなに不機嫌なんだよ?』
「……」
『沈黙じゃ分から「早く行くぞ」……あのなゾー「行くぞ」…ゾッ「行 く ぞ」…は「早く」……』
かなり気まずい雰囲気、山の向こうは既に街が見えている、いい加減国境に入りそうなのでどうにかしたい
『いい加減理由を言え』
「……」
ジロッと此方を見てからまた無視
『おいゾーイ』
苛立ちを隠せない声色で再度話し掛ける
「今は”お前”の声を聴くだけで苛々する」
『…はぁ?』
『全く、単独行動させやがって』
既に街の門の手前……だが
……アイツ……私を置いて野原を走り去って行ったな
『……まぁ何かあったら流石に助けを求めるか』
「……君は何処から来たんだい?」
声がした方向を見る、手入れされている髭、大体30歳くらいだろう
しばらく考えて、答えた
『ネーレーイス……あっ……ネーレーから来た』
「……?……ネーレー……あぁ、もしかしてあの町から来たのか」
実家の名前は知らないが……そもそも名乗って何があるかもしれん、ネーレー町とは夏に素材を良く交換していたし……待てよ?
『……悪手か?』
実家と仲が良い……つまりあのクソ野郎共が変に勘付くかもしれん
「何言ってんだ嬢ちゃん、とりあえずさっさと血印を押してくれ」
……特に何か……これと言った変な雰囲気はしていない、大丈夫だったようだ
『……?』
「……ほら、早く、そこにアンタの血を押し付けるんだよ」
1cm程の厚さの紙……を
『え、あ……』
左手の指を軽く切る
「もうちょい情報が欲しいな、血をもう少し押し付けてくれ」
『……』
ぐぃっ、と再度また押し付ける
「ほら、もう行って良いよ、これはこの国の身分証だから無くすんじゃないよ。良い1日を、旅人さん」
『……嗚呼』
身分証か。
手に待っている身分証……血を押し付けた割に血痕が全く無かった
入国出来たのは良いものの……
『情報が欲しいな』
全く光がどうなったか分からない
その時、大きな音がした
『……ッ』
咄嗟に耳を塞ぐがどんなに強く耳を塞ごうが音は無情にも入り込んで強い不快感を感じる
金色の音を発する何か、ゾーイじゃない黒い馬、沢山の人達
「…?大丈……ね……おー…?」
『……?』
爆音に顔を歪め微妙に聴こえる声、その顔を確認する前にプツリと意識が途切れた
めんだこ
103
#能力
めんだこ
802
ゑぬ。
217
321
コメント
1件
読了です!今回も世界観の広がりにワクワクしました。冒頭の怪我の痛みとゾーイとの気まずい空気、そこから回想で見せるお馬さんのエピソード——アイリーンの幼少期を知れるのが本当に面白い。家族構成や「兄」の存在、ゾーイが怒った理由も気になるし、国境通過の血印システムがすごく好みで、世界の仕組みを感じさせる良い細部だなと。最後の爆音と金色の描写、あの中断の仕方で続きが気になって仕方ないです…!