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グリルタ
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晶子とカンナが仲良くなった事は、クラスの中でちょっとした話題になった。
男子の反応はおおむね同じで、妙に丁寧な態度で晶子に接するようになった。晶子を、いじめるという程ではないが、乱暴に扱っていると、たちまちどこからかカンナが飛んで来るからだ。
晶子とカンナが並んで校舎の廊下を歩いていると、男子の方が道を譲るようになった。
女子の反応は二つに分かれた。カンナに一目置いている女子は、クラス中、いや学年中に多かったようで、晶子はしばらくの間、他の女子から質問攻めに遭った。
「ねえ、篠崎さん。どうやってカンナとあんなに仲良くなれたの?」
「篠崎さんもけんか強いの?」
「ねえ、教えてよ。カンナと仲良くできるコツとかあんの?」
何と言われようと、晶子はいつもこう答えるしかなかった。
「ううん、あたしもよく分からない。カンナの方から仲良くしようって言ってくれただけだし」
晶子がカンナといつも連れ立っている事に否定的な女子が、クラスの三分の一ほどいた。彼女たちは晶子のこう言った。
「晶子ちゃん、あんな子とつき合って先生に目を付けられたらまずいんじゃない?」
「晶子ちゃんは中学受験するんだよね。地元の公立中学に行く子とよく仲良くできるね、大丈夫?」
既にクラスの生徒たち、とくに女子は、中高一貫の私立中学を受験するグループと、そのまま地元の公立中学に行く事になるだろうグループとで、お互いに距離を置き合いつつあった。
真偽の程が定かでない噂ではあったが、小学校での生活態度が入学試験を行う私立中学に報告されるという話が中学受験組の間でまことしやかにささやかれていた。
当然、小学校での友人関係も受験に影響するという話になっていた。家が貧しく地元の公立中学組であるはずのカンナと必要以上に仲良くしないよう忠告する女子もいた。
晶子はその度に、自信なさげに否定した。
「カンナちゃんはいい子だよ。中学受験には関係ないと思うんだけどなあ」
いずれにせよ、学年が5年生、6年生と進むにつれ、放課後学習塾へ直行する晶子たち受験組と、中学受験をしないクラスメートたちはお互い学校の外で会う機会も減り、自然と話をする事も少なくなっていった。
中学受験組が学校の教室で塾での話をし始めると、受験しないグループの生徒はそっと離れて行くようになった。
そんな中でもカンナだけは相変わらず、暇さえあれば晶子の側へやって来て他愛のない話を交わしていた。
6年生では二人は別のクラスになったが、カンナは昼休み時間、放課後のちょっとした空き時間に、なんだかんだと口実を作って晶子の教室へ押しかけていた。
いつもカンナに守ってもらっている事に引け目を感じている晶子がそれを口にすると、カンナはいつも豪快に笑いながらこう応えた。
「いいんだよ、晶子はオレのあこがれのお嬢様なんだからさ。晶子が楽しそうにしてんの見ると、オレも楽しいんだよ」
コメント
1件
うわあ、晶子とカンナの関係、周りからこんな風に見られてたんだ……。男子が道を譲るようになったエピソード、ちょっと笑っちゃったけど、カンナの圧が伝わってくる感じがすごくリアルでした。 中学受験組と公立組の間に自然とできる距離感、「小学校の成績が受験に響くかも」っていう不安な噂とか、子どもの世界のリアルな空気感が丁寧に描かれていて、読んでいて胸がギュッとなりました。 そんな中で「晶子はオレのあこがれのお嬢様」って言うカンナの台詞、すごく良かったです。彼女の一途な優しさがにじみ出てて、じんわりしました🤍