テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第4話 朝が来るのが怖い
午前九時。
一時間目が始まっている頃。
保健室には、いつもの席が一つだけ空いていた。
「……今日は桃くん、遅いですね。」
黄が心配そうに時計を見る。
「うん。」
青も頷いた。
「朝は特につらいって言ってたから……。」
紫先生は窓の外を見つめる。
『起立性調節障害』
朝になると体が思うように動かず、立ち上がることさえ苦しくなる日もある。
学校へ来たい気持ちはある。
でも、体がついてこない。
それが桃だった。
「サボりじゃないのにな。」
橙がぽつりと呟く。
「……。」
赤は何も言わなかった。
しばらくして。
ガラッ。
保健室の扉がゆっくり開いた。
「……おはよう、ございます。」
立っていたのは桃だった。
制服は少し乱れ、息も上がっている。
顔色は真っ白だった。
「桃くん!」
紫先生が駆け寄る。
「大丈夫?」
「……すみません。」
桃は苦しそうに笑った。
「また遅くなっちゃって……。」
「謝らなくていいよ。」
先生はそう言いながら椅子へ座らせた。
桃は小さく息を整える。
額には汗が滲んでいた。
黄は初めて見る姿だった。
「そんなに苦しいの……?」
小さく呟く。
桃は苦笑した。
「今日はまだマシな方。」
その一言に、みんなが驚く。
「これで?」
橙が目を丸くした。
「うん。」
桃は静かに頷いた。
「ひどい日は、起きようとしても体が動かないんだ。」
「……。」
「頭も痛いし、立ったら目の前が真っ白になる。」
黄は言葉を失った。
そんな病気があることを知らなかった。
「でもさ。」
桃は笑う。
「みんなには理解してもらえないんだよね。」
その笑顔は、どこか寂しかった。
「『昨日は元気だったじゃん。』『怠けてるだけでしょ。』って。」
桃は少し俯く。
「本当は自分が一番学校に行きたいのに。」
保健室が静かになる。
誰も何も言えなかった。
すると。
「俺。」
赤が口を開いた。
全員が赤を見る。
「……ごめん。」
「え?」
「俺も最初は、そんな病気あるんだって思ってた。」
桃は少し驚いた表情を見せた。
赤は目を逸らしたまま続ける。
「でも今見てたら……違うって分かった。」
「……。」
「知らなかっただけ。」
桃は少し目を潤ませた。
「ありがとう。」
その一言だけだった。
でも、その『ありがとう』にはたくさんの気持ちが詰まっていた。
「じゃあさ!」
重たい空気を変えるように橙が立ち上がる。
「今日はみんなで昼ご飯食べよう!」
「賛成!」
黄が笑う。
青も静かに頷いた。
赤は少し照れくさそうに窓の外を見る。
「……好きにすれば。」
「それ賛成ってことじゃん!」
橙が笑う。
保健室に小さな笑い声が広がった。
桃も、その輪の中で笑っていた。
学校では当たり前にできること。
教室で友達と昼ご飯を食べること。
そんな何気ない時間が、保健室では少しだけ特別だった。
それぞれ違う悩みを抱えながらも、ここでは誰も「頑張れ」とは言わない。
無理に教室へ戻そうとする人もいない。
ただ、「今日も来られたね」と迎えてくれる人がいる。
その優しさが、少しずつみんなの心をほどいていくのだった。
ーーーーーーー
雑談
えぇー無事に風邪引きました。熱も出しました。なんでだ???学校でもマスクしとるのに謎でしかない。はいほんとにバリ暇なのだたくさん更新すると思います。まぁこれからもよろしくね??おつりつきー!
NEXT→♡15 出来れば💬も!(AI含まない)
コメント
2件
読了……桃くんの「今日はまだマシな方」ってセリフに胸がぎゅってなったよ。理解されない病気と戦いながらも学校来てる姿が切なかった。でも赤くんの「ごめん」がすごく響いた。最初は疑ってた自分を認めて謝れるって、強いなって思う。そして誰も「頑張れ」って言わない保健室の空気、すごく温かいね。莉月さん、風邪ひいてるのに更新ありがとう…!無理せずゆっくり休んでね🌙
#すとぷり
azunatubaki
375