薄暗い街の一角、雨に濡れた石畳の上に、主人公(プレイヤー)たちは足を止めた。雨音に混じって、学院からの使者の重い足音が近づく。黒いマントを羽織った使者は、濡れた髪を手で払うと、主人公たちを真っ直ぐに見据えた。
「……今回の依頼は、特別だ」
低く冷たい声で告げると、使者は一通の封筒を差し出した。封筒には学院の紋章が刻まれており、中には詳細な指示書と、対象人物の情報が詰まっている。
主人公が封を開くと、そこには一枚の写真——薄暗い実験室で鋭い瞳を光らせるリオンの姿——が映っていた。使者が続ける。
「対象はロスティル。学院では『魔帝』と呼ばれ、極めて危険な存在だ。我々の管理を離れ、独自に学院を監視し、施設に侵入している。」
主人公の一人が眉をひそめる。「監視……? それって、魔物を操って学院を攻撃してるってことですか?」
使者は首を振る。
「表向きはその通りに見える。しかし、我々の情報では、彼は生徒や無関係な人間に危害は加えていない。だが、放置すれば学院の機密が漏れる恐れがある——それだけだ。」
もう一人の主人公が、依頼書に目を落とす。そこにはリオンの能力、過去の経歴、弱点と推定される行動パターンまで詳細に書かれていた。
「つまり……僕たちは、彼を倒すか、捕らえるか、学院に戻すか、選択しなければならないわけですね。」
使者は静かに頷く。「だが、注意しろ。彼はただの人間ではない。実験によって特殊な力を持っている。接触や戦闘の際、想像以上の力で反撃してくるだろう。」
雨が一層強くなる中、主人公たちはお互いの顔を見合わせた。
プレイヤーはゴクリと唾を飲み込んで、選択をした。
『依頼を受ける?』
受ける ◀︎
受けない
「……わかった。僕たちにやらせてください。」
使者は満足そうに頷き、雨の中を消えていった。残された主人公たちは、封筒を握り締め、深く息を吸い込む。目の前には、学院の暗部で育った“魔帝”、ロスティルが待ち受けている——それを倒すか、救うか、あるいは……。
静寂の中、雨音だけが次の戦いの序曲を告げていた。







