(ソ連目線)
家の振り子時計が鳴る
「!…12時だな
……その、昼飯うちで食べていかないか?
作ったんだ」
『えっ!?ぁ、良いの!?
やったぁ!!じゃなくて、ありがとうございます!』
「ふっ…構わない
そこの椅子に座って、待っててくれないか?」
あれ…
俺、今笑った?
『OK!』(椅子に座り
やけに嬉しそうな彼を横目に、俺はあらかじめ作っておいたバッファローウィング、ステーキなどに熱を通す
『?、あれ…なんか嗅いだ事ある匂い…
もしかして、バッファローウィング!?』
「バレたか…まぁ、そうだ
あまり上手く作れている自信はないから、期待はしないでくれ」
『いーや!期待するね!
初めてのソ連の手料理で、バッファローウィングが食べれるなんて……
あ、やばい、泣けてきた』(涙が出て
「はぁ?
大袈裟すぎ……いや、本当に泣くな」
『だって嬉しいんだもん!
ただでさえ、人の手料理なんて食った事ないのに…
アメリカ料理作って貰えるなんて…
いや、まぁ、ソ連がよく作ってる料理も食べたいけど』
「え、人が作った料理食べた事ないのか?
ファストフード食べてる時点で、人が作ったものじゃ…」
『それとこれとは別っ!
なんというか…こう、俺への想いがこもってて…仕事で作ってない食べ物!』
「なるほど…?」
待ってくれ
これに納得してしまったら、俺の手料理がアメリカへの想いがこもってるものになってしまう
否定するべきか?
いや…もう、納得してしまったからな…
今更なしにするのも変か…
「出来たぞ、好きなものを食え」
『うっわー!?!?
めっちゃうまそぉ……』(目がキラキラと
なんだかこう見ると子供みたいだ
まぁ、身長が子供とは言えないがな
『じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…
いただきまーすっ!』
アメリカはすぐにバッファローウィングを取り、かなり大きな一口で噛みついた
『んっ!?んぅ〜!!
うまぁっっ!!ソ連、天才だよ!!』
「さっきから大袈裟すぎるぞ…」
『いやっ、ほんとに美味い
言葉に出来ないくらい美味い!』
「ふふ…ありがとな」(無意識に微笑んで
…
柄にもなく微笑んでしまった
アメリカは料理に夢中で気付いていない…
はず…
いや、気付いていないでくれ
頼む
今までずっと敵同士の仲だったのに、なぜだか今の時間がとても楽しい…
こんな事、思って良いのだろうか
社会主義の恥と言われないだろうか…
というか、こんな事が息子達にバレたら怒られるだろうな……
(アメリカ目線)
えっ、マジで美味い
ソ連の飯、美味すぎだろ
もうイギリスの飯食えねぇわ
食ったら4ぬわ
でも、ソ連の飯も色んな意味で4ぬわ
美味すぎて頬っぺた落下しそう
一生食ってられるものが、こんな近くにあったんだな
「そういえば、ソ連って何でこんなに料理上手いの?」
『それは…
まぁ、息子が何人かいるからな』
そうだ
ソ連には息子がいたんだった
何人いたっけ…
めちゃくちゃいたよね?
最初それ聞いてめっちゃビックリした
でも、その息子達って拾った子らしいね
血は繋がってないっぽい
1人で育てたのすごいね?
育児放棄してる奴ら全員見習えよ
やっぱソ連って凄いなぁ
「今は別々の所にいるの?」
『そうだな』
「たまに帰ってくる?」
『余り帰ってこないな
でも、1年に3回程度ここに集まって食事をすることはあるな』
「へぇー、いいね」
楽しそうだな、と素直に思った
俺とは違う、いい息子達なんだろうな
きっと親孝行もしてるんだろ
ソ連は恵まれてる
俺と付き合ってほんとに大丈夫なのかな
親不孝で、厄介者の俺と
もっと別の人がいたよな…
でも、告っちゃったし
俺がこんなこと思ってたら、ダメだよな
『俺はもう満足したが、アメリカはまだ食うか?』
「ぇ、あ…?」
『昼食のことだ』
「あ、あぁ、俺ももう大丈夫!
片すの手伝うよ!」
『ありがとな』
待って、ソ連全然食ってないっっ
俺、まだ全然食えるけど
ソ連、俺の半分くらいで満足してる
少ないっ
大丈夫??
体重何キロ?
「ソ連は本当にいいの…?
満足した…?」
『あぁ、いつもより多く食べてしまった気もするしな』
絶対嘘じゃん
でも、ほんとだったらいつもはスープ皿一杯分くらいで満足してますよね?
どんな食生活?
俺と真反対
まぁ…ソ連がいいならいっか…
料理に夢中になってたけど、皿もめちゃくちゃ綺麗だよな
かけてるところもないし、それにしてもデザイン?が凄い綺麗…
芸術品みたい…
カトラリーもめちゃくちゃフツクスィね
これは丁寧に洗わないと…
『どうした?神妙な顔して…』
「ぇ、いや、何でもない…
ただ、ソ連の食器、絶対に壊さないなーと思って」
『別に壊しても大丈夫だぞ…?
そろそろ買い替えたいしな
ザッと50年は使っているし』
えっ、50年??
えぐ
うちは…そんなに料理しないから使ってすらねぇや
物持ちが良すぎる
ソ連ってマジ完璧じゃん
でも、なんとなく…
あの時の傷がまだ
ソ連を侵食している気がする…
なんだこのオチつづくぞ((
コメント
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ぬぇぇ好き 前の投稿も見てたけどやっぱ好き天才すぎるウォォォォ