テラーノベル
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「なっ?!」
コアに刃が突き刺さる瞬間、バリルシウスを突き飛ばして突如目の前に現れたアルドムリア。
フィニスの剣はそのまま吸い込まれるかのように、アルドムリアのコア目掛けて突き刺さっていた。
フィニス自身も何が起こったのかが分からず、ルシオと共にニティア達の元へ飛び上がって距離を取る。
『?!』
突き飛ばされ、理解が追いついていないバリルシウス。自分が死ぬと思っていたのに、今まさに死にかけているのはアルドムリア。
次の瞬間には状況を理解したのか、コアが砕け、白い炎を纏い始めたアルドムリアの目の前に立ち、片膝をついてアルドムリアに視線を合わせた。
『何故……呪いを解除してまで私を助けた』
白い炎を纏ったアルドムリアがくすりと笑う。
『貴方に……ついてやってくれとアニタ様に頼まれましたからね……』
『そうか……』
離れたところから様子を見ているフィニス達。アルドムリアの呪いが消え、体の自由が戻ったニティアが杖をバリルシウス達へ向けるも、アルテアが首を左右に振ってそれを止める。
『侮っていましたね……』
『すまなかった……』
『いいえ……私もです。エラリスさんの魔力の調整力。アルテアさんの魔力探知と解析力。そして……ニティア様の私の呪いにも負けじと抗う膨大な魔力と、数秒で貴方にダメージを与えるほどの術式を構築できる魔法の才能……』
『……』
白い炎がさらに大きく燃え上がるとともに、突如奥から流れてくる膨大な魔力。魔力を感じ取れないフィニスですら何かを感じ取り、全身から冷や汗が流れ始めていた。
「……白髪の魔女……!!」
納めていた武器を再び手に取って構えるフィニス達。
しかし、そんなことは一切気にせず、アルドムリアの元へゆっくりと歩を進めるアニタ。
『やられたのか……』
『はい……申し訳ございません』
『そうか……』
眷属がやられ、怒り狂うわけでも……
悲しみに耽っているわけでも無い……
『お前達2人で遅れをとるなんてな……』
ただただ淡々としている魔女。
『……』
黙っているバリルシウスと、再びくすりと笑うアルドムリア。
『とても……強くなっていますよ……』
釣られたアニタもくすりと笑う。
『そうか……世話になったな』
白い炎により全身が崩れ始めるアルドムリア。崩れかけている両手を合わせ、祈りのポーズを取る。
『あとは……よろしくお願いしま』
サァー……
白い炎が一気に燃え上がり、アルドムリアは跡形もなく粉々に崩れて散っていってしまった。
静寂に包まれる空間。まるですべての音が世界から剥ぎ取られたかのように静まり返っている。
戦闘後の疲弊した状態にも関わらず、すぐ目の前にいるのは世界の災厄と呼ばれる白髪の魔女。そんな魔女と対峙しているという緊張からか、急激に訪れた完全なる無音は、狂暴な質量となって鼓膜を激しく締め上げ、フィニス達の耳の奥がキィンと鋭く軋んだ。
次の瞬間……フィニス達には一切目をくれず、くるりと踵を返すアニタ。
『ここでの用は済んだ。行くぞ』
祭壇へと続く通路の手前で待つ白い魔族の2人に向けて声をかけるアニタ。その言葉を聞くと共に、2人はふわりと宙に浮かび上がり、そのまま光に包まれて消えていってしまった。
「待ちなさいよ!」
ニティアが杖をアニタに向けるも、即座に盾を拾い上げて立ちはだかるバリルシウス。
『よせ』
『……』
盾越しにフィニスを睨みつけるバリルシウス。
『お前がどんな気持ちなのかは知らぬが……その想いは次まで取っておけ』
『……はっ』
構えた盾をゆっくりと下ろし、もう一度フィニスを睨みつける。
『覚えていろ』
低い声でそう呟くと、バリルシウスも同様、光と共に消えていった。
『……』
背を向けていたアニタが、一度だけフィニス達の方に身体を向ける。
『……』
そしてそのまま背を向けると、ふわりと浮かび上がり、眩い光と共に消え去ってしまった。
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コメント
1件
うわっ……アルドムリア、最後までバリルシウスを守ったんだね……「あとはよろしくお願いしま」で消えるところ、泣きそうになったよ😢 アニタ様の淡々とした「そうか」「世話になったな」も、逆に重みがあってすごく印象的だった。あの静寂の中での別れ、めっちゃ胸にくる……! 次が気になるよ〜