テラーノベル
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※政治的意図なし。史実とは一切関係ありません。語彙力がなさすぎるためところどころおかしいです。誤字脱字があるかもしれません。
クリスマスネタです。
フィンランド×日本です。他にも諸々お気をつけください。
今日はクリスマス。雪が舞い、子どもたちはプレゼントを今か今かと待ち、
恋人たちは互いの温度で暖ため合う日
「なーんていったって、私は仕事だったんですけど。」
道端に落ちている小石を蹴りがら、最寄り駅まで向かう。
(ケーキでも買って帰ろうか?)
雪の粒が手の甲に落ちる。
……いや、もう暖かい布団で寝よう。
多分、それが今できる一番の幸せだ。
駅の改札口付近に居ると、無機質な音が鳴った。
その後こう告げられた。
『雪の影響により、運休します。』
耳に届いたのは信じられない言葉だった。
理解するまでに何秒かかかった。
「‥あ」
最悪の事態が起こってしまった。
構内にいた大勢の人々も徐々に慌てだした。
(……どうすれば)
冷や汗が伝う。
心臓が早く脈を打つ。
鞄の中を急いであさり、財布を取り出す。
中には、小銭が数枚しか入っていない。
(クソ……)
唇をかみしめ、積もった雪を思いっきり踏む。
軽い舌打ちをすると、
ポケットから短い電子音が鳴る。
嫌な予感がする。
急いで取り出しスマホの画面をみると、電源切れのマークが。
(‥‥‥終わった。)
フラフラと倒れるようにベンチに腰掛ける。
真っ暗な夜空にイルミネーションが色とりどりに輝いている。
息を吐くたび白色な靄が天へ溶けていく。
徐々に冷たい風が体に伝い、冬の厳しい寒さが少しずつ感覚を奪っていく。
(‥)
必死に仕事のジャケットで体を温める。
腹部から弱い暖かさが伝わるが、到底満足するまでに至らない。
あー明日は風邪引くなーとかのんきなことを考えてる半面、
雪山に一人で放置されたようにも思える。
ただ、ロータリーを眺める。
たくさんの車が行き交い、渋滞を起こしている。
比例して駅に残る人々もどんどん少なくなっていく。
車に乗っていく人々はとても幸せそうだ。
ほら、あの車も愛おしい人のためにここまで来たのだろう。
(あぁ、私も頼れる人がいたら。)
服の裾を強く掴む。
(今年は、最悪のクリスマスだ……)
その時、ロータリーの端に白色の車が止まった。
エンジン音が消えた後、車主が扉から出てくる。
そして、まっすぐにこちらへ向かってくる。
(え?)
寒さで視界が霞む。
だが、確かにそれは見覚えのある顔だった。
「日本君!大丈夫?」
ライトが照らしたその姿は日本の同僚であるフィンランドだった。
張り詰めていたものが解けた感覚がする。
こんな自分のために、わざわざ駆けつけてくれたのだ。
「たまたま電車が運休したことを知ってさ、
もしかしたら困ってるんじゃないかと思って。」
眉を下げながら、フィンランドはコートを掛けてくれる。
「……うぅ」
背中に柔らかい温もりが触れる。
凍えてた身体が感覚を取り戻す。
……ほんの少しだけ目頭が暑くなる。
「僕の勘が当たったようだね。良かった。」
晴れやかな笑顔をこちらに向ける。
その笑顔は、どんなイルミネーションよりも明るい。
「フィンランドさん‥なんで」
来ると思ってなかった助けに、つい、声が漏れてしまう。
感謝より前に、疑問を持ってしまう自分が嫌になる。
「なんでって何さ!助け合いはしなきゃでしょ。
それに、僕にとって君は
同僚であり、友人であり、‥‥大切な人だから。
ってもう!こそばゆいこと言わせないでよ!」
フィンランドは右手の人差し指で頬をかきながら視線をそらした。それでもその声は堂々としている。
(あぁ、この人は…………)
「ほら、寒いし、早く車内に入ろ!そうだ、もしよければ、この後‥‥二人だけでクリスマスパーティなんて、どうかな?」
照れくさそうに日本に手を伸ばす。
迷いなどいらない。
しっかり手を取る。
目から雫が落ちる。
この暖かさは、きっと、コートじゃない。
フィンランドのおかげだ。
「……‥私でよければ、ご同行させてください。」
夜の寒さは2人の温度で消えてしまった。
誰もいなくなった駅にはベルの音だけが静かに鳴り響いていた。
コメント
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あ…(尊死)