星が見える日に
自由少女
ある夜、僕は空をみていた。小さな光がぽつぽつ灯っている。星座なんて見えないくらい星は少ないけれど、見上げるぐらいの美しさがあった。
月が大きく見える日は、いろんな生き物が見える。ウサギ、カニ、女の人。他にもいろいろ。
前を向くと、女の人がたっていた。
「星が好きなの?」彼女は言った。
「空を見るのが好きなんだ」僕は答えた。彼女は、ふーんと返事をした。
「一緒に見ない?」
僕は良いよと答えた。
「空を見てると、嫌なこと全部忘れちゃうの」
「僕も一緒」
他愛もない話をした。
「死んだらお空に行くって本当なのかな?」
「え?」僕は答えた
「そしたら、もうすぐ私あそこに行くの」
彼女は空を指差した。夜だったからか、初めて会ったからか、彼女の話しは真実味がなかった。
「もしまた明日、ここに私が来なかったら空を見上げてくれない?」
「いいけど…どうして?」
「君とお話ししたいから」彼女は答えた
「どうして僕に頼むの?」
「だって…」彼女はしばらく口を開かなかった。やがて…
「私に優しくしてくれたから。それに、皆忙しくて空なんか見てる暇ないんだよ。あまり好きじゃないらしいし」彼女は少し早口だった。
「空を見上げれば、いつも綺麗な景色が広がってるのに、皆見ようとしないのは変よ」
僕は笑ってしまった
「ははっ。そうだね」
次の日、彼女は言葉通り来なかった。だから、空に話しかけた。
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