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ふとした瞬間を物語に

3 - 星が見える日に

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2023年07月19日

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星が見える日に

自由少女


ある夜、僕は空をみていた。小さな光がぽつぽつ灯っている。星座なんて見えないくらい星は少ないけれど、見上げるぐらいの美しさがあった。

月が大きく見える日は、いろんな生き物が見える。ウサギ、カニ、女の人。他にもいろいろ。

 前を向くと、女の人がたっていた。

「星が好きなの?」彼女は言った。

「空を見るのが好きなんだ」僕は答えた。彼女は、ふーんと返事をした。

「一緒に見ない?」

僕は良いよと答えた。

 「空を見てると、嫌なこと全部忘れちゃうの」

「僕も一緒」

他愛もない話をした。

「死んだらお空に行くって本当なのかな?」

「え?」僕は答えた

「そしたら、もうすぐ私あそこに行くの」

彼女は空を指差した。夜だったからか、初めて会ったからか、彼女の話しは真実味がなかった。

「もしまた明日、ここに私が来なかったら空を見上げてくれない?」

「いいけど…どうして?」

「君とお話ししたいから」彼女は答えた

「どうして僕に頼むの?」

「だって…」彼女はしばらく口を開かなかった。やがて…

「私に優しくしてくれたから。それに、皆忙しくて空なんか見てる暇ないんだよ。あまり好きじゃないらしいし」彼女は少し早口だった。

「空を見上げれば、いつも綺麗な景色が広がってるのに、皆見ようとしないのは変よ」

僕は笑ってしまった

「ははっ。そうだね」


 次の日、彼女は言葉通り来なかった。だから、空に話しかけた。


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