コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私の名前は真鍋美香子。高校一年生。
成績はそこそこ。運動はあまり得意じゃないけど、それなりに頑張ってるつもり。顔立ちはまあまあだと思うんだけど……自分で言うのもアレだけど、なんか地味目かも? 身長百五十三センチ。体重四十キロ。髪の長さは肩くらいまででちょっと癖があるからいつも二つに分けて結っている。視力は両眼とも1.5。
趣味は読書と映画鑑賞かな。好きな本はよく読むジャンルとかバラバラだし、映画もアクション系が好きだったりするけど、わりとなんでも好き。
友達はあんまりいないほうかもしれない。でも、べつにいじめられてるとかそういうんじゃないよ。仲の良い子はけっこういると思う。
家族は父さん母さんの三人暮らし。姉貴がいるらしいけど会ったことはまだ無い。父さんの仕事の都合で今は海外に行ってて一人暮らし状態だから、たまにしか帰ってこないしね。
さっき言ったとおり運動は苦手。走るの遅いし。あと身体動かすのあんまし好きじゃなかったりするし。部活には入ってない。入ったほうがいいのかなぁと思ってた時期もあったんだけど、やっぱり面倒くさかったから入らなかった。
勉強だってそう自慢出来るほどでもない。成績表を見た先生に『頑張ってるね』なんて言われた事も無い。ただ学校に行って授業を受けて家に帰って宿題をして眠るだけ。たまに本を読むけど、面白いと感じてもすぐ眠くなるから読破出来た試しがない。読書感想文を書く時が一番困る。いつも原稿用紙二枚分くらい書いて結局提出しないで終わる。
運動神経は良い方だと思う。体育の授業では平均以上の成績は取れる。けれどそれだけじゃダメだとわかっている。運動は好きだし得意だけど、それ以上に何か特技があった方が将来役に立つと思うのだ。
料理も一応作れる。けれど上手いか下手かと言えば間違いなく下手だし、人に食べさせられる程の腕じゃない事は確かだ。お菓子作りなんて一度もやった事がないし、そもそもケーキ屋さんで売っているような物が作れたとしても、それがお金になるとは思えない。
容姿にはそこそこ自信がある。可愛いとか綺麗とか言われる事が多い。自分で自分の事を美人だと思った事は一度しかない。中学三年の頃、友達と一緒にカラオケに行った時に、その日初めて会った男の子に一目惚れされた事があるからだ。
その時はまだ恋というものがよくわからなくて、彼の気持ちに応えられなかった。だから告白を断ったんだけど……もしあの時の彼と付き合えていたら、今とは違っていたのかなって思う。
――何が言いたいかというと、私は自分が平凡でつまらない人間だという自覚があるという事だ。
だからだろうか。私は昔から不思議な夢を見るようになっていた。
それは物語を語るように語られるべきで、詩歌のように歌われるべきである。
それは文学の中で語られ、音楽の中に演奏され、絵画の中で描かれるべきものである。
そうでなければ意味がないのだ。
なぜなら、それがなければ語ることはできないからだ。
そしてまた、それがなければ書くことができないからである。
なぜなら、それがなくては何も作れないからであり、何かを作るということはその作品を通して語り始めることなのだ。
だから、物語は語り始められるべきだし、作品は読み始められるべきなのだ。
そうでないものは、ただ単に読まれているだけだ。
そして、そのどちらにも欠けたものこそ、死すべきものである。
それはつまり、生きているということではないだろうか。
「生きとし生けるものすべてに、物語がある」
だからこそ我々は語らい続けなければならない。
我々が言葉をもって生まれてきた理由は、きっとそのためにあるはずだから。
(『生命賛歌』序章より)
† † †
―――そこは、どこかの部屋だった。
その部屋では今まさに、一人の男が死を迎えようとしていた。男は二十代半ばくらいだろうか、痩せぎすだが背は高く、顔立ちにも精気がある。ただひとつだけ、男の身体には奇妙な特徴があった。それは右手の小指がないということ。切断された傷口を覆うように包帯が巻かれており、さらに上から大きな絆創膏が貼られている。
「……お医者様を呼べ!」
突然部屋の扉が開かれて誰かが入ってきたかと思うと、僕の目の前には見覚えのない女の子がいた。その子は僕を見て、「あー!やっと見つけた!」と言いながら満面の笑みを浮かべている。
僕はその子の顔を見ながら思う。
(え……誰?)
全く知らない子だった。そもそもこんな時間に家に訪ねてくるような知り合いはいないはずだ。なのに何故見知らぬ子がここにいるのか理解できなかった。しかし彼女は嬉しそうにしながら僕に向かって話しかけてきた。
「良かったぁ~。これでようやくお兄ちゃんに会えたよぉ~」
「お、おいちょっと待ってくれ!君は一体どこから現れたんだよ!?それに『お兄ちゃん』ってどういうことだ?」
彼女の言葉を聞いて思わず尋ねてしまった。彼女が今言ったことの意味が全く分からなかったからだ。
「うん?お姉さんのこと分からないかな?ほら、小さい頃によく遊んであげたじゃない。ねぇ、優斗君」
「優斗くんだって!?」
名前から連想されるイメージや、その人の話しぶりなどから、その人の本質を見極めようとする試みを「命名法」(めいめんぽう)と呼ぶ。
例えば、「AさんにはBさんの本名を教えてはならない」「Aさんの名前をCさんの前で口にしてはならない」などのルールが定められていたり、また「自分の名前を人に知られてはいけない」といった言い伝えがあったりする。これらの決まりごとは、古くから伝わる迷信の一種なのだが、そうした慣習が現在でも守られている地域はたくさん存在する。
「Aさん」